消防署の1日は、
華やかな火災現場ではなく 「朝の点検」 から始まります。
この点検は、消防士の仕事の中でも最も重要で、
現場の安全を左右する“命綱”です。
消防学校・消防署で実際に行ってきた
リアルな始業点検の内容をわかりやすくまとめます。
■① 朝の始業は「点呼」から始まる
● 1. 隊長・隊員の出席確認
当務（24時間勤務）のメンバーが揃っているか確認。
● 2. 連絡事項の共有
・火災発生状況
・近隣消防の動き
・訓練計画
・注意事項
などを全員で共有してから業務へ入る。
■② 車両点検（最重要）
消防車の点検は、
“ミリ単位の異常も見逃さない”レベルで行われます。
✔ ① エンジン・バッテリー
● エンジン始動
● 警告灯の確認
● バッテリー電圧
出動時にエンジンがかからないと致命的。
✔ ② タイヤ
● 空気圧
● 亀裂
● 異物刺さり
特に冬は凍結でグリップが落ちるため重要。
✔ ③ ライト・サイレン・無線
● サイレン動作確認
● 無線の通話テスト
● 赤色灯点灯
“緊急車両扱い”を満たすための必須チェック。
✔ ④ 水利関係（ポンプ）
● 水の吸い上げ試験
● 圧力計
● 放水口の異常
火災現場で突然使えないと大事故につながる。
■③ 資機材点検（救急・救助の命綱）
● 救助工具（油圧カッター・スプレッダー）
交通事故での切断作業に必要。
1mmの油圧不足が救助時間に直結する。
● ロープ・ヘルメット・手袋
高所救助・転落救助で必須。
● 救急セット
・AED
・酸素
・吸引器
・救急バッグ
これらは毎日必ず“個別に”動作確認。
■④ 出動服（防火衣）チェック
✔ ① 防火衣の破れ
小さな破れが火災現場では命取り。
✔ ② 空気呼吸器（SCBA）
● 圧力
● 面体の密着
● ベルト
煙の中で使うため、完璧でなければならない。
■⑤ 本日の訓練内容を全員で確認
● 火災訓練
● 救急シミュレーション
● ロープ訓練
● ホース延長
● 隊の連携確認
消防は訓練しなければ力が落ちる職業。
毎日、何かしらの訓練を行う。
■⑥ 地域の危険情報の共有
・凍結路面の場所
・工事現場の増加
・高齢者世帯の増加
・保育園・学校の行事
出動時に役立つ情報を全て全員で共有。
■⑦ なぜ始業点検がここまで大事なのか？
● 出動は“突然”始まる
点検が終わる前に火災が起きることもある。
● 1つのミスが隊全体の危険に直結
例えば
・ホースの破損
・ポンプの圧力異常
・呼吸器の空気漏れ
これらは現場で起きれば一瞬で重大事故。
● “安全が担保されて初めて戦える”
消防は危険と隣り合わせ。
点検こそが初動のすべて。
■まとめ
消防の朝は、
派手な出動ではなく 地味で徹底した点検 から始まります。
● 車両
● 資機材
● 防火衣
● 呼吸器
● 救急器材
すべてが完璧でなければ現場では戦えません。
消防の強さの源は、
この“毎日の積み重ね”にあります。
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