【元消防職員が解説】消防署の“仮眠事情”── 24時間勤務のリアルな睡眠と、なぜ眠れない夜が多いのか?

消防の勤務は「24時間交替制」が基本。
そのため業務の中には“仮眠時間”が設定されていますが、
実際には まとまって眠れないことが多い のが現場の現実です。

ここでは、消防署の仮眠の実態をわかりやすく解説します。


■① 仮眠時間はあるが「寝られる」とは限らない


仮眠は通常 22時〜6時の8時間 ですが、
これはあくまで「仮眠をとっていい時間帯」を示すだけ。

実際は──

● 22:30 着床 → 23:00 救急出動

● 1:15 着床 → 2:00 火災出動

● 4:00 着床 → 4:20 救急出動

● そのまま朝を迎える

こんな夜は珍しくない。


■② 救急隊は特に眠れない

救急件数の多い地域では、
仮眠中に5〜10件出動 する日もあります。

特に冬は以下の理由で救急が増加:

● 心筋梗塞
● 脳卒中
● 呼吸困難
● 高齢者の転倒
● 低体温

つまり“冬の仮眠はほぼ寝られない”日も多い。


■③ 仮眠室はどんな場所?


消防署の仮眠室(休養室)はこんな感じ:

● 2段ベッド or シングルベッド
● 各自のロッカー
● 明かりは常に薄暗く
● 出動ベルが鳴ると即起床

出動ベルは大音量で流れ、
睡眠の質はどうしても下がる


■④ 仮眠中の“あるある”


● 夢の中でもサイレンが鳴る

● 睡眠が細切れで体が重い

● ベッドに入って数分後に出動

● 体が反射で起きるようになる

● 寝不足でも朝は普通に訓練がある

仮眠時間=休息時間ではない。


■⑤ 寝不足が続いても“翌日の勤務”は普通にある

24時間勤務の翌日は「非番」として休めますが、
寝不足がひどい日は昼まで寝る消防士も多い。

それでも
● 訓練
● 火災調査
● 事務
など、職種によっては仮眠後も業務は続く。


■⑥ 睡眠不足でも活動できる理由


消防は“習慣と訓練”で
体が自然に動くように仕上げている。

● 服を着る
● 呼吸器をつける
● ホースを持つ
● 指揮命令を聞く

これらが 反射的にできるよう訓練 されているため、
寝不足でも安全に活動ができる。

ただし、
油断が事故につながるため相互監視が必須。


■まとめ

消防士の仮眠は
● 寝られない日が多い
● 救急隊は特に眠れない
● 冬は出動が増える
● ベルで頻繁に起きる
● 翌日も普通に訓練
● 慢性的な寝不足との戦い

それでも消防士が現場に向かうのは、
「地域を守る」という強い使命感があるから。

仮眠ひとつとっても、消防の厳しさと覚悟が伝わると思います。

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