東日本大震災から15年。
仙台市で開催された「21世紀減災社会シンポジウム」では、津波災害の科学的知見と、被災地の生の経験が交差する場となりました。
被災地派遣やLOとして現地に入った経験から見ても、ここで語られた内容は「次に生かさなければならない教訓」そのものです。
■① 東日本大震災15年が問いかけるもの
震災から時間が経つほど、「記憶の風化」は避けられません。
しかし、災害は記憶が薄れた頃にやってきます。
シンポジウムでは、仙台市戦災復興記念館を舞台に、
・津波のメカニズム
・初動判断の難しさ
・伝承の重要性
が改めて整理されました。
被災地派遣で感じたのは、「知っていたはず」の人ほど、判断が遅れるという現実です。
■② 津波災害の特徴と初動情報の限界
基調講演で今村文彦・東北大副学長は、津波災害の本質をこう説明しました。
・災害直後の情報は早いが精度は低い
・状況は刻々と変化する
・情報を待つほど危険が増す
現場では、正確な情報がそろうまで待つ余裕はありません。
元消防職員として活動した被災地でも、「情報が揃ってから動く」は最も危険な選択でした。
■③ 事前に「行動」を決めておく重要性
「適切な判断と行動がとれれば人的被害ゼロは可能」
この言葉は理想論ではありません。
ただし条件があります。
・事前に行動を決めていること
・繰り返しイメージしていること
・訓練で体に落とし込んでいること
被災地では、頭で理解していても、準備がなければ体は動きませんでした。
■④ 正常性バイアスという最大の敵
多くの犠牲を生んだ要因の一つが「正常性バイアス」です。
・自分だけは大丈夫
・まだ避難するほどではない
・前回も大丈夫だった
こうした思い込みが、避難の遅れにつながります。
シンポジウムでも、自宅周辺の地図を書き起こし、
・危険な場所
・通れなくなる道
を事前に把握する重要性が強調されました。
■⑤ 被災自治体の反省と教訓
パネルディスカッションでは、南三陸町の高台移転についても語られました。
被災直後は合意形成が進んだ一方で、
・財源確保
・物資や支援の交通整理
・事前計画の不足
といった課題が浮き彫りになりました。
LOとして自治体支援に関わった経験からも、
「計画がない支援は混乱を生む」という事実を何度も見てきました。
■⑥ 「なかったことにしない」伝承の力
津波で家族を失った丹野祐子さんの言葉は重く響きます。
・被災前の日常の尊さ
・失われた命の記憶
・語り続けることの意味
被災地では、「語られなくなった地域」ほど、防災意識が下がっていきます。
記憶をつなぐことは、次の命を守る行為そのものです。
■⑦ 次の世代へバトンを渡す時期
「語り続けられるのは30年が限界」
15年という節目は、折り返し地点です。
仙台市職員有志「Team Sendai」による朗読劇は、
体験を次世代に渡す新しい形でした。
被災地派遣で感じたのは、
体験を自分の言葉で語れる人がいる地域は、確実に強いということです。
■⑧ 防災士として伝えたい結論
次の巨大地震に備えるとは、
・知識を増やすこと
・設備を整えること
だけではありません。
・行動を決める
・迷いを減らす
・記憶を共有する
この積み重ねが、人命被害を減らします。
■⑨ 一言でまとめると
・初動情報は不完全
・判断は事前に決める
・記憶を次世代へ渡す
15年の教訓を「過去」にしないこと。
それが、次の巨大地震への最大の備えです。

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