正月行事の「どんど焼き」で、
「自治会に入っていない家の子どもだから」という理由で、
7歳の子が豚汁を振る舞ってもらえなかった――。
この出来事は、単なる地域トラブルではなく、
災害時の防災体制を考える上で極めて重要な問題を含んでいます。
被災地派遣やLOとして現場に立ってきた元消防職員・防災士の視点から、
この問題を「防災」という切り口で整理します。
■① 自治会は「任意」だが、防災では重要な役割を担う
自治会や町内会は法的には任意加入です。
しかし現実には、
・安否確認
・避難誘導
・炊き出し
・情報伝達
など、災害時の初動対応を支える存在でもあります。
被災地では、
「自治会が機能していた地区」と
「機能していなかった地区」で、
初動の混乱に大きな差が出ていました。
■② 子どもを排除する行為が、地域の防災力を下げる理由
今回の事例で最も問題なのは、
判断の矛先が「子ども」に向いたことです。
災害時、守るべき優先順位は明確です。
・子ども
・高齢者
・障がいのある人
これらは、自治会加入・未加入に関係ありません。
被災地では、
「日頃から顔の見える関係があったかどうか」が
救助や声かけの早さに直結しました。
子どもを排除する地域で、
本当に非常時に助け合えるでしょうか。
■③ 被災地で見た「線引き」が生む危険
被災地派遣の現場では、
「うちは地区が違うから」
「班が違うから」
という線引きが、命の判断を遅らせた事例を何度も見ました。
・声をかけるのをためらう
・安否確認が後回しになる
・支援が届く順番が変わる
こうした小さな差が、
生死を分ける場面は現実に存在します。
■④ 自治会は「管理」より「関係づくり」が本質
専門家の指摘にもある通り、
「どう圧力をかけるか」ではなく、
「どうすれば協力したくなるか」が重要です。
防災の視点で見ると、
・行事は関係づくりの場
・炊き出しは訓練
・顔合わせは安否確認の練習
になります。
豚汁一杯は、
将来の防災力への投資でもあります。
■⑤ 子どもは地域防災の「未来」
防災教育の現場では、
子どもが参加することで大人の意識も変わります。
・避難訓練に真剣になる
・説明が分かりやすくなる
・地域の空気が柔らぐ
被災地でも、
子どもが中心になって動いたことで、
地域がまとまったケースを多く見てきました。
■⑥ 防災の現場で大切なのは「平時の態度」
災害時に突然、
「助け合おう」と言っても、
平時の関係性がなければ動けません。
・誰を知っているか
・誰に声をかけやすいか
・誰を信頼しているか
これはすべて、
日常の積み重ねで決まります。
■まとめ
自治会に入る・入らないは個人の自由です。
しかし、防災の本質は排除ではなく包摂です。
特に子どもは、
地域が守るべき存在であり、
地域防災の未来でもあります。
被災地で痛感したのは、
「正しさ」よりも
「関係性」が命を守るという事実でした。
防災の視点で地域を見るとき、
一杯の豚汁が持つ意味は、
決して小さくありません。

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