林野火災というと、
「山奥で起きる火事」「乾燥した森の問題」と思われがちです。
しかし、シラス台地を抱える地域では、
林野火災は地形・地質そのものがリスク要因になります。
被災地派遣や現地調査の経験を踏まえ、
シラスと林野火災の関係を防災の視点で整理します。
■① シラスとは何か|火災と関係する地質特性
シラスは、火山噴出物が堆積してできた土壌で、
・粒子が非常に細かい
・乾燥すると崩れやすい
・水を含むと一気に弱くなる
という特徴があります。
鹿児島県や南九州を中心に広く分布し、
住宅地と山林が近接している地域も少なくありません。
■② シラス地帯で林野火災が厄介になる理由
シラス地帯では、林野火災が起きると
次の問題が同時に発生しやすくなります。
・下草や落ち葉が乾燥しやすい
・火災後、地表が裸地化しやすい
・消火後に土砂崩れリスクが急上昇
つまり、
「火災 → 消火 → 二次災害」の連鎖が起こりやすいのです。
■③ 現場で見た「火が消えてからが本番」という現実
被災地派遣や現地対応で何度も感じたのは、
林野火災は鎮火して終わりではないという点です。
シラス地帯では、
・消火水で地盤が一気に弱体化
・雨が降ると表層崩壊
・道路や住宅地への土砂流入
が短期間で起こることがあります。
火が消えた直後から、
次の災害が始まる感覚でした。
■④ なぜシラスは火災後に崩れやすいのか
火災によって、
・植生が失われる
・根が地盤を支えなくなる
・表面が焼けて撥水性を持つ
この状態で雨が降ると、
水が地中に浸透せず一気に流れます。
結果として、
・浅い表層崩壊
・土石流
・道路寸断
につながりやすくなります。
■⑤ 林野火災は「山の問題」ではない
シラス地帯では特に、
・住宅地の背後が山
・畑や空き地が緩衝帯
・道路が谷筋を通る
といった構造が多く、
林野火災は生活圏の災害になります。
現場では、
「家までは来ないと思っていた」という声を何度も聞きました。
■⑥ 平時にできる現実的な対策
大がかりな対策でなくても、
次の行動が被害軽減につながります。
・家の裏山の下草管理
・落ち葉や枯れ枝を溜めない
・雨樋・側溝の清掃
・火災後は雨量に特に注意する
林野火災のあとこそ、
避難判断を早める意識が重要です。
■⑦ 防災は「火」だけを見ないこと
林野火災対策というと、
消火や延焼防止に目が向きがちです。
しかしシラス地帯では、
・火
・水
・土
この3つを一体で考える防災が欠かせません。
被災地での経験上、
最も危険なのは「もう終わったと思う瞬間」でした。
■まとめ
シラス地帯の林野火災は、
単なる山火事では終わりません。
・火災
・消火
・豪雨
・土砂災害
が連続して起こる可能性を常に含んでいます。
防災で大切なのは、
「一つ先の災害を想像すること」。
火が消えたあとこそ、
本当の警戒が必要になる。
それが、
シラス地帯と向き合ってきた現場からの実感です。

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