林野火災は、もはや一国の問題ではありません。
近年、海外では国家規模・大陸規模での林野火災が頻発しています。
被災地派遣や海外事例の調査を通じて感じるのは、
「海外は火災を前提に社会を作っている」という現実です。
ここでは、海外の林野火災事情と、日本が学ぶべき視点を整理します。
■① 海外では「毎年起きる前提」の災害
アメリカ、オーストラリア、カナダ、南欧諸国では、
林野火災は季節災害として扱われています。
・毎年どこかで必ず発生
・数週間〜数か月続くことも珍しくない
・消火より「被害を最小化する」発想
「起きたら対応」ではなく、
起きる前提で準備するのが海外の基本姿勢です。
■② アメリカ:巨大火災と専門組織
アメリカでは、
州・連邦レベルで林野火災専門組織が存在します。
・USFS(森林局)
・CAL FIRE(カリフォルニア州)
・専用の航空消火部隊
特徴的なのは、
・広域での延焼予測
・住民への早期強制避難
・家を捨てる判断が早い
「人命最優先」が徹底されています。
■③ オーストラリア:火と共存する社会
オーストラリアでは、
林野火災は「ブッシュファイア」と呼ばれ、
・住宅設計
・街区配置
・庭木の管理
すべてが火災前提です。
・耐火建材の義務化
・防火帯の確保
・住民自身が消火・撤退判断
行政に頼り切らない防災文化が根付いています。
■④ ヨーロッパ:迎え火(バックファイア)の積極活用
スペイン・ポルトガル・フランスなどでは、
・迎え火(バックファイア)
・計画的な焼き払い
が合法かつ戦術的に使われます。
火を「消す」のではなく、
火で火を制御する発想が当たり前です。
日本では心理的ハードルが高い手法ですが、
海外では標準戦術です。
■⑤ 海外で重視される「撤退の判断」
海外の林野火災対応で印象的なのは、
・危険になったら即撤退
・無理な消火をしない
・建物より命を優先
これは、
過去に多くの消防士・住民が亡くなった教訓から来ています。
被災地派遣で現地に入った際も、
「ここは守らない」「ここで線を引く」という判断の重さを強く感じました。
■⑥ 日本との決定的な違い
日本との大きな違いは、
・地形が急峻
・水源が比較的近い
・家屋が密集している
ため、
・初期消火
・延焼阻止線の構築
が重視されます。
ただし、
海外型の「早期撤退・広域避難」は、
今後日本でも必要になる場面が増えると感じています。
■⑦ 日本が学ぶべきポイント
海外事例から、日本が学べるのは、
・火災前提の土地利用
・住民自身の判断力
・行政と住民の役割分担
林野火災は、
消防だけでは止められません。
地域全体で「燃え方」を理解することが、
最大の防災になります。
■まとめ
海外の林野火災事情は、
・規模が違う
・発想が違う
・判断が早い
という特徴があります。
共通しているのは、
「命を守るために、捨てる判断をする」という覚悟です。
林野火災は、
知っているかどうかで結果が変わる災害。
海外の知見を、
日本の防災にどう落とし込むか。
今、その視点が求められています。

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