2026年、AIの進化は「便利さ」の段階を越え、私たちの働き方・学び方・意思決定そのものに影響を与えるフェーズに入りました。
防災の現場でも、AIはすでに被害想定、情報整理、報告書作成、住民説明など、さまざまな場面で活用され始めています。
一方で、現場に立つ立場として感じるのは、
「情報が増えすぎて、何を信じて判断すればいいのか分からない」という新しい不安です。
■① AI時代は「便利になった」で終わらせてはいけない
AIは確かに便利です。
・文章は一瞬で整う
・資料は自動で要約される
・分析結果も提示される
しかし、防災や災害対応では
「便利=正解」ではありません。
被災地派遣やLO(リエゾンオフィサー)として活動した経験上、
最も危険なのは「情報が多すぎて判断が遅れること」です。
AI時代に必要なのは、
新しいツールを追いかけ続けることではなく、
情報を受け止める側の“判断の土台”を整えることです。
■② 防災現場で起きている「基礎の揺らぎ」
かつて防災の基礎といえば、
・ハザードマップの読み方
・気象情報の理解
・現地踏査
といった、地道な積み重ねでした。
しかし今は、
・AIが被害想定を出す
・AIが避難計画を下書きする
・AIが報告書を整える
時代です。
ここで問われるのが、
「人間の基礎とは何か」という問題です。
現場経験から言えば、
基礎とは「作業ができること」ではなく、
結果を疑い、文脈で判断できる力です。
■③ テクニックの継ぎ足しでは防災力は上がらない
SNSや動画では、
・最新AI活用術
・便利プロンプト
・業務効率化テクニック
が次々と流れてきます。
しかし、防災の視点で見ると、
これらを“つぎはぎ”で使うことはリスクにもなります。
災害時に必要なのは、
・一貫した判断軸
・情報の取捨選択
・不確実性を前提にした思考
AIテクニックではなく、
AIとどう向き合うかというOS(思考の基盤)が重要です。
■④ 被災地で実感した「人間の役割」
被災地派遣の現場では、
数字や資料よりも重視される場面があります。
それは、
・住民の不安
・現場の空気
・言葉にできない違和感
です。
AIは大量の情報を処理できますが、
「この判断で人はどう感じるか」までは完全に代替できません。
だからこそ、
AIが賢くなるほど、人間側には
・判断責任
・倫理
・現場感覚
がより強く求められます。
■⑤ 防災×AIに必要なのは「学び直し」ではなく「軸づくり」
2026年に必要なのは、
新しい資格やスキルを増やすことではありません。
必要なのは、
・何をAIに任せるか
・何を人が判断するか
・どこで立ち止まるか
を決める思考の軸です。
防災士・元消防職員として感じるのは、
この軸がある人ほど、
AIを使ってもブレません。
■⑥ AI時代の防災教育は「土台づくり」が最優先
これからの防災教育では、
・操作方法
・ツール紹介
よりも先に、
・判断のプロセス
・前提条件の確認
・想定外への備え
を教える必要があります。
AIは答えを出しますが、
「その答えを採用するかどうか」を決めるのは人間です。
■まとめ
AIの進化は止まりません。
情報は今後さらに洪水のように押し寄せます。
だからこそ、防災において大切なのは、
・焦らないこと
・流されないこと
・自分の判断基準を持つこと
AIは敵でも脅威でもありません。
正しく向き合えば、非常に心強い相棒です。
2026年は、
AIに振り回される年ではなく、
AIと共に考え、判断できる土台を整える年にしていきましょう。
それこそが、
防災にも、働き方にも、
そして命を守る行動にもつながります。

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