【防災士が解説】防災×津波対策|GPS付きライフジャケット“次世代化”が救助を変える理由

津波などの水害では、「発見の早さ」が生死を分けます。
宮城県南三陸町では、被災者の早期発見を目的に開発されたGPS付きライフジャケットの次世代版開発が始まりました。
この取り組みは、現場を知る立場から見ても、防災と救助の在り方を一段進める重要な動きです。


■① GPS付きライフジャケットとは何か

GPS付きライフジャケットは、着用者の位置情報を取得し、
津波や水害発生時に救助側が被災者の場所を特定できる仕組みを持っています。

南三陸町では、過去の津波被害の教訓から、
「浮く」だけでなく「見つかる」装備として開発が進められてきました。


■② 従来型が抱えていた課題

これまでのシステムには、次のような制約がありました。

・陸上に通信基地局を設置する必要がある
・基地局自体が被災すると通信不能になる
・救助機関が即時に位置情報を共有できない場合がある

被災地派遣やLO(リエゾン)として現場に入った経験からも、
通信インフラが先に壊れるという事態は決して珍しくありません。


■③ 次世代版の最大の進化点「衛星通信」

次世代版GPS付きライフジャケットでは、
人工衛星と直接通信する方式が採用されます。

これにより、

・地上基地局が不要
・津波や地震で通信設備が壊れても位置送信が可能
・海上保安庁など救助機関がリアルタイムで位置把握

といった、大きな改善が見込まれています。


■④ 救助の現場で「位置情報」が持つ意味

元消防職員として水害・海難事案に関わってきた立場から言えば、
要救助者の捜索で最も時間を奪われるのは「どこにいるのか分からない」時間です。

・夜間
・悪天候
・漂流

これらが重なると、目視捜索には限界があります。
位置情報があるだけで、救助効率は劇的に変わります。


■⑤ 津波災害と南三陸町の現実

南三陸町は、東日本大震災で甚大な津波被害を受けた地域です。
「次に同じ被害を出さない」という強い意思が、
このような実証型の防災技術を生み出しています。

被災地派遣の際、
「助けられたかもしれない命」が何度も語られました。
その悔しさが、技術開発につながっています。


■⑥ 実証実験から実用化へ

次世代版GPS付きライフジャケットは、
今年中に実証実験を行い、来年中の実用化を目指しています。

重要なのは、
・机上の理論で終わらせない
・実際の海・現場で検証する

という点です。
現場を想定した実証なくして、本当の防災装備にはなりません。


■⑦ 「着る救助要請」という発想

この装備は、単なるライフジャケットではありません。
着るだけで救助要請を発信し続ける装置です。

高齢者、観光客、子どもなど、
自ら状況を説明できない人にとって、極めて有効です。


■⑧ 防災装備は“現場基準”で進化する

防災技術の進化で最も重要なのは、
現場で本当に使えるかどうかです。

LOとして自治体・消防・警察・海保をつなぐ役割を担った経験からも、
情報が一元化され、即時共有できる装備の価値は明白です。

GPS付きライフジャケットの次世代化は、
津波災害における「発見の壁」を越える、大きな一歩と言えます。

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