江戸時代の町火消は、延焼を防ぐためにいち早く現場へ到達し、的確に動く必要がありました。その際に使われていた走法が、上下動を抑えた「江戸走り」です。この考え方は、現代の災害避難や初動対応にも応用できます。
■① 町火消が求められた“速さ”の正体
町火消に必要だったのは、全力疾走ではなく、
・長く動ける
・転ばない
・仲間と連携できる
という“持続可能な速さ”でした。これは災害時の避難行動と本質的に同じです。
■② 江戸走りが延焼阻止に向いていた理由
江戸走りは体の上下動が少なく、
・息が上がりにくい
・視野が安定する
・狭い路地でも方向転換しやすい
という特徴があります。火の粉や人混みの中で動く町火消に適した走り方でした。
■③ 現代防災に転用できるポイント
現代の避難行動では、
・瓦礫
・暗所
・人の集中
が重なります。江戸走りの「低重心・脱力」は、こうした不安定環境での移動を安全にします。
■④ 初動対応で差が出る“到達力”
消防活動でも、現場に“無事に到達する力”が結果を左右します。速くても転倒すれば意味がありません。江戸走り的な動きは、確実性を高めます。
■⑤ 被災地派遣で実感した速さの誤解
被災地派遣やLO活動で多かったのは、焦って走り転倒するケースです。一方、重心を落として一定速度で動く人は、結果的に早く安全に目的地へ着いていました。
■⑥ 集団行動との相性
町火消は単独ではなく集団で動きました。
・同じリズム
・同じ速度
・声掛け
江戸走りは、家族避難や地域避難での歩調合わせにも向いています。
■⑦ やらなくていい防災
・全力ダッシュ
・先頭だけが速く進む
・後方確認をしない
これらは避難の分断や二次災害につながります。
■⑧ 今日できる最小行動
・階段を急がず、上下動を抑えて下りる
・歩幅を小さく一定に保つ
この意識が、災害時の動きやすさにつながります。
■まとめ|町火消の知恵は今も生きる
江戸走りは、単なる古い走法ではなく、危険環境で動くための合理的な知恵です。
結論:
災害時に必要なのは最速ではなく、最後まで安全に動ける速さです。
元消防職員としての経験からも、江戸走り的な低重心・持続型の動きが、現場対応と避難の質を確実に高めると感じています。

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