林野火災の映像で、消防隊員が背中にタンクを背負い、ホースの先から水を噴射している場面を見たことがある人も多いはずです。
あの装備こそが「ジェットシューター」です。
山林火災では、この装備が消火活動の“要”になる場面が少なくありません。
■① ジェットシューターとは何か
ジェットシューターは、林野火災専用の背負い式消火装備です。
・水や泡消火薬剤を背負って携行できる
・ポンプで加圧し、ノズルから噴射
・車両が入れない山中でも使用可能
一般的な消防ホースとは異なり、「人が歩いて行ける場所なら消火できる」ことが最大の強みです。
■② なぜ林野火災でジェットシューターが使われるのか
林野火災の現場では、次のような制約があります。
・道が狭い、または存在しない
・消防車が進入できない
・水利(消火栓・防火水槽)がない
被災地派遣や山間部での活動経験でも、車両消火が不可能な現場が大半でした。
その中で、隊員が徒歩で入り、火の根を直接叩ける装備がジェットシューターです。
■③ ジェットシューターの主な役割
ジェットシューターの役割は「大火災を一気に消す」ことではありません。
主な役割は以下です。
・延焼拡大を防ぐ
・地表火・下草火を叩く
・火の回り止め(防火帯)を守る
・残火処理を確実に行う
林野火災では「鎮圧後の再燃防止」が非常に重要で、ここでジェットシューターが活躍します。
■④ 実際の現場で感じたジェットシューターの重要性
林野火災の現場では、
・風で火が飛ぶ
・地面の下で根火が進む
・見た目以上に熱が残る
こうした状況が当たり前です。
被災地での活動では、表面上は消えているように見えても、数時間後に再燃した例を何度も見てきました。
ジェットシューターで一つ一つ丁寧に潰す作業が、最終的に「家を守る」結果につながります。
■⑤ 消防車10台よりも重要な場面がある
ニュースでは「消防車〇台出動」と報じられますが、林野火災では台数より人と装備の適合性が重要です。
・車両が近づけない → 人力装備が主力
・山腹や斜面 → 背負い装備が必須
ジェットシューターは、地味ですが「最後に火を止める装備」です。
■⑥ 一般の人が知っておくべきポイント
林野火災現場でジェットシューターが使われている=
「消防が相当近い場所まで入っている」状態です。
つまり、
・住民の早期通報があった
・初動対応が成功している
・延焼を止める段階に入っている
こうした背景があります。
■まとめ|林野火災を止めるのは“足で入る消火”
・ジェットシューターは林野火災の主力装備
・車両が入れない場所で真価を発揮
・延焼防止と再燃防止に不可欠
・早期通報が、この装備を生かす前提条件
元消防職員として伝えたいのは、
林野火災は「小さいうちに、人が入って止める」火災だということです。
その最前線に立つ装備が、ジェットシューターです。

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