【元消防職員・防災士が解説】防災×災害医療|首都直下地震を想定した大規模医療救護訓練が持つ本当の意味

首都直下地震が発生した場合、最も早く限界を迎えるのが「医療」です。
その現実を前提に、日本赤十字社が過去最大規模となる災害時医療救護訓練を実施します。

この訓練は、私たち一般市民にとっても決して他人事ではありません。


■① 今回の医療救護訓練の概要

日本赤十字社医療センターは、
首都直下地震の発生を想定した大規模な災害時医療救護訓練を実施します。

・日程:1月31日
・時間:8時30分〜17時頃
・対象:関東・甲信越の1都8県(日赤第2ブロック)
・規模:参加者・会場数ともに過去最大

東京都主催の「関東ブロックDMAT訓練」と同時開催され、
行政・医療・関係機関が連携した実戦形式の訓練です。


■② なぜ「首都直下地震」を想定するのか

首都直下地震では、次の事態がほぼ確実に起こります。

・負傷者が一気に発生
・医療機関が被災し機能低下
・道路寸断で救急搬送が滞る
・医療人員・物資が不足

被災地派遣の経験でも、
「医療が追いつかない状況」が最も深刻な不安要素でした。

だからこそ、平時に「想定しておく」ことが不可欠なのです。


■③ 訓練で実施される主な内容

今回の訓練では、以下が実施されます。

・外部からの応援医療チーム(日赤救護班など)の受け入れ
・病院内での診療支援訓練
・模擬患者(看護大学生など)によるリアルな対応訓練
・トリアージ(治療優先度判定)
・診療エリアへの搬送訓練

これは「見せる訓練」ではなく、
本当に災害が起きた前提で動く訓練です。


■④ トリアージ訓練が意味するもの

災害医療で最も厳しい判断が、トリアージです。

・全員を助けられない現実
・限られた医療資源
・時間との戦い

元消防職員として現場に立った経験でも、
「トリアージの判断が遅れると被害は拡大する」と痛感しました。

この訓練は、医療者が心を鬼にして判断する訓練でもあります。


■⑤ 私たち一般市民に関係ある理由

医療救護訓練は、医療関係者だけの話ではありません。

大規模災害時には、

・軽症でもすぐに病院へ行かない
・自分でできる応急手当を知っている
・医療を「本当に必要な人」に譲る

こうした市民側の行動が、
医療崩壊を防ぐ重要な要素になります。


■⑥ 現場経験から伝えたいこと

被災地派遣では、
「医療が足りない」「人が多すぎる」という声を何度も聞きました。

どれだけ訓練を重ねても、
災害時の医療は余裕がある状態にはなりません

だからこそ、

・日頃の健康管理
・持病の薬の備蓄
・応急手当の知識

これらは、命を守る立派な防災行動です。


■まとめ|医療は“準備の差”が命の差になる

・首都直下地震では医療が最初に逼迫する
・大規模訓練は「現実を直視するため」のもの
・トリアージは命を救うための苦渋の判断
・市民の行動が医療現場を支える

防災士・元消防職員として強く伝えたいのは、
「助けてもらう側」になる前提で備えることが、防災の本質だということです。

医療救護訓練は、その現実を私たちに突きつけています。

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