地震が起きたとき、多くの人は避難所を思い浮かべますが、自宅の安全が確保できている場合は「在宅避難」も重要な選択肢です。被災地派遣や避難支援の現場でも、在宅避難を選んだ人が少なくありませんでした。ただし、真冬の在宅避難で最も注意すべきなのが「低体温症」です。
■① 真冬の在宅避難で起きやすいリスク
冬の災害では、
・停電
・ガス停止
・暖房が使えない
といった状況が重なります。室内にいても寒さは体力を奪い、特に高齢者や乳幼児は低体温症のリスクが高まります。能登半島地震でも、死因の1割以上が低体温症や凍死だったことが報告されています。
■② 低体温症は「室内」でも起こる
低体温症は、体の中心部の温度(深部体温)が35℃以下になる状態です。屋外だけでなく、
・冷えた室内
・床からの冷気
・動かない時間が長い
といった条件でも起こります。元消防職員として現場を見てきましたが、「家の中だから大丈夫」という油断が最も危険でした。
■③ 寒さ対策の基本は「保温」と「加温」
在宅避難の寒さ対策は、大きく分けて2つです。
保温
・防寒着
・毛布、寝袋
・室内履き
・首、手首、足首、くびれを温める
体の熱を逃がさないことが最優先です。
加温
・温かい食事
・カイロ
・ストーブやヒーター
この2つを組み合わせることで、寒さによる体力消耗を防げます。
■④ 家の中でできる簡単な工夫
特別な道具がなくても、
・窓にプチプチ緩衝材を貼る
・ビニールカーテンで隙間風を防ぐ
・床に段ボールやマットを敷く
といった工夫で体感温度は大きく変わります。被災地でも、こうした小さな工夫が体調を左右していました。
■⑤ 充電式・電気に頼らない防寒グッズ
最近は、モバイルバッテリーにつないで使える
・電熱ひざ掛け
・防寒ウェア
も増えています。ただし、電気に頼り切るのは危険です。防災士として勧めたいのは、電気・ガス・灯油を組み合わせる「エネルギーミックス」という考え方です。
■⑥ エネルギーミックスという発想
災害時、
・電気が止まる
・ガスが止まる
ことは珍しくありません。
・カセットボンベ式ストーブ
・灯油ストーブ
・ガスコンロ
など、複数の熱源を持つことで、どれかが使えなくなっても寒さをしのげます。LOとして活動した際も、エネルギーを分散していた家庭ほど生活再建が早い傾向がありました。
■⑦ お湯が使える安心感
寒い中でお湯を使えることは、体だけでなく心も支えます。停電時でも使えるバックアップ電源や、倒れにくい平置き型の灯油缶など、災害の教訓を生かした備えも広がっています。被災経験から「温もりは生きる力」だと強く感じています。
■⑧ 今日からできる最小の備え
今すぐできることは、
・家の中で寒さを感じる場所を確認する
・防寒具と熱源を見直す
それだけでも、真冬の在宅避難の安全性は大きく変わります。
■まとめ
真冬の在宅避難では、「家にいる=安全」ではありません。
保温と加温を意識し、エネルギーを分散して備えることが、低体温症を防ぐ鍵になります。
寒さに負けない備えは、命と生活を守る力そのものです。

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