2050年カーボンニュートラルを見据え、エネルギーインフラの転換が進む中、危険物施設の在り方も大きく変わり始めています。令和8年1月、危険物保安技術協会から示された「浮き屋根式屋外貯蔵タンクへのアルミドーム設置に関する許可事務の効率化」は、防災の観点からも重要な動きです。
■① カーボンニュートラルと危険物施設の転用
石油供給を前提とした従来のタンク施設は、クリーンエネルギー対応へと転用・改修が求められています。被災地派遣の現場でも、老朽化した危険物施設が災害時リスクとして浮き彫りになる場面を多く見てきました。エネルギー転換は、防災強化と表裏一体です。
■② 浮き屋根式タンクが抱える災害時の弱点
浮き屋根式屋外貯蔵タンクは、雨水混入や腐食、強風時の挙動など、災害時特有の課題を抱えています。特に豪雨や台風時、雨水流入による品質劣化や二次災害のリスクは、現場対応でも課題として挙がってきました。
■③ アルミドーム設置が持つ防災上の意味
アルミニウム製屋根構造物(アルミドーム)は、雨水混入防止という日常管理だけでなく、災害時のリスク低減にも寄与します。一方で、強度・荷重条件・側板応力など、高度な技術判断が不可欠です。現場感覚だけでは判断できない領域に入っています。
■④ 技術評価から技術援助へ|事務効率化の背景
危険物保安技術協会は、平成10年から性能評価業務を通じてアルミドーム設置を支援してきました。今回、一定条件を満たす事案については「技術援助」による対応へ移行することで、許可事務の迅速化と合理化が図られます。これは行政・事業者双方の防災対応力を底上げする動きです。
■⑤ 災害時を見据えた「事前審査」の重要性
元消防職員として、災害発生後の現場対応よりも「事前の設計・審査」がいかに重要かを痛感してきました。タンク破損や危険物漏えいは、発災後では取り返しがつきません。技術援助による事前確認は、被害を未然に防ぐ最後の砦です。
■⑥ 市町村の許認可事務と防災力の関係
地方自治体の許認可事務は、人員・専門性の制約を受けがちです。LOとして被災地自治体に入った際も、専門判断の負担が課題となっていました。専門機関を活用することは、結果として地域防災力の強化につながります。
■⑦ 危険物施設は「平時管理=災害対策」
危険物施設の安全対策は、災害時だけの話ではありません。平時の設計・維持管理こそが、非常時の被害規模を左右します。アルミドーム設置を巡る今回の整理は、防災の視点から見ても理にかなった流れです。
■⑧ 防災士として見る今後の課題
今後は、気候変動による豪雨・強風を前提とした設計思想が不可欠になります。アルミドームを含む屋根構造物も、「想定外」を減らす設計が求められます。制度と技術の両輪で、防災は進化していく必要があります。
■まとめ|危険物施設の制度改正は防災強化の一歩
今回の通知は、単なる事務効率化ではなく、危険物施設の安全性と防災力を高める重要な一歩です。専門機関の知見を活用し、平時からリスクを潰していくことが、災害に強い社会づくりにつながります。防災は、現場だけでなく制度設計から始まっています。

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