福岡県は、県内の活断層などによる地震被害の最新想定を公表しました。警固断層帯などを震源とする地震では、死者数や建物被害が前回想定から大幅に増加しています。この数字は、単なる予測ではなく、これからの防災行動を見直すための重要な警鐘です。
■① 最新想定で何が変わったのか
今回の調査は、防災対策の基礎資料とするため、2011年度の前回調査から算出方法を更新して実施されました。対象は、
・県内7つの活断層
・南海トラフ地震
の計8ケースです。
特に注目すべきは、福岡市を縦断する警固断層帯と、新たに評価対象に加わった宇美断層です。
■② 警固断層帯で死者1800人という現実
警固断層帯による地震では、
・死者数:600人増加し1800人
・建物の全壊・全焼:約3万6000棟(前回の約2倍)
と想定されています。都市直下型地震の特徴として、建物倒壊や火災が同時多発しやすく、初動対応が極めて困難になります。
被災地派遣の経験から見ても、「揺れの大きさ」以上に、「密集市街地」「夜間」「在宅率の高さ」が被害を拡大させます。
■③ 発生確率が低くても被害は甚大
死者数が最も多いと想定されたのは宇美断層で、死者1900人と算出されました。30年以内の発生確率は「ほぼ0%」と評価されていますが、これは「起きない」ではなく「起きた場合の備えが不十分になりがち」な典型例です。
防災の現場では、「確率が低いから備えない」という判断が、最も危険な思考になりやすいと痛感してきました。
■④ 想定は“最悪”ではなく“現実寄り”
今回の想定は、不安を煽るための数字ではありません。算出方法の更新により、建物の老朽化、人口構成、都市構造など、より現実に近い条件が反映されています。
つまり、この数字は「起きたらこうなる可能性が高い」という、実務目線の想定です。
■⑤ 県が示す「防災対策を加速」の意味
県の担当者は、「調査結果を基に課題を洗い出し、防災対策を加速していく」としています。これは、
・耐震化の促進
・火災対策
・避難計画の見直し
・地域連携の強化
といった具体策に直結するメッセージです。行政の動きに合わせて、住民側の備えも同時に進める必要があります。
■⑥ 個人・家庭で今すぐできる備え
この想定を受けて、個人や家庭で確認しておきたいのは次の点です。
・自宅の耐震性
・家具の固定
・夜間・在宅時を想定した避難行動
・火災を防ぐ初期対応(ブレーカー・ガス)
元消防職員として強調したいのは、「揺れた後の行動」が生死を分けるという事実です。
■⑦ 地域防災の視点を持つ
都市部では、個人の備えだけでなく、近隣との助け合いが被害軽減の鍵になります。被災地では、顔見知りかどうかで救助や情報共有のスピードが大きく変わりました。
自治会や自主防災組織の動きにも、ぜひ関心を持ってください。
■まとめ|数字を「行動」に変える防災へ
福岡県の最新地震被害想定は、決して他人事ではありません。死者1800人、建物被害3万6000棟という数字は、「今のままでは危ない」という現実を示しています。想定を知り、行動に移すことこそが、防災対策を本当に前に進める一歩です。

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