【防災士が解説】防災×感震ブレーカー|設置促進が加速する理由と国の最新動向

大規模地震後に発生する火災の多くは、揺れによる電気設備のトラブルが引き金になります。こうした二次災害を防ぐ切り札として、今あらためて注目されているのが「感震ブレーカー」です。国は関係府省庁が連携し、設置促進を本格化させています。


■① 感震ブレーカーとは何か

感震ブレーカーは、一定以上の揺れを感知すると自動的に電気を遮断する装置です。地震直後の通電火災を防ぐことを目的としており、住宅火災リスクを大きく下げる効果があります。


■② 首都直下地震対策WGが示した効果

「首都直下地震対策検討ワーキンググループ報告書」では、感震ブレーカー等の普及が進むことで、大規模地震時の焼失棟数を大幅に削減できることが示されました。火災による被害を事前に減らせる数少ない対策の一つと位置付けられています。


■③ 経済産業省の取組|点検と同時に普及促進

経済産業省は、電気事業法に基づく電気設備点検の機会を活用し、感震ブレーカーの必要性を周知する取組を令和7年度から開始しました。

登録調査機関が各家庭を訪問する際、感震ブレーカーの概要や、自治体が実施している補助制度について冊子で案内しています。特に、著しく危険な密集市街地を抱える自治体で重点的に実施されています。


■④ 総務省消防庁の取組|財政支援の強化

消防庁は、感震ブレーカーの普及啓発に関する自治体の取組に対し、特別交付税措置を講じています。

さらに令和7年度補正予算では、著しく危険な密集市街地を有する自治体が、住民に対して感震ブレーカーの購入・取付を計画的に支援する場合、その費用を国が支援する制度が盛り込まれました。

元消防職員として被災地に入った経験からも、密集市街地での初期火災抑制は「消す」以前に「出さない」ことが重要だと強く感じています。


■⑤ 国土交通省の取組|まちづくりと一体で推進

国土交通省は、住宅市街地総合整備事業などを通じ、密集市街地の改善をハード・ソフト両面で進めています。その一環として、地方公共団体による感震ブレーカー設置の取組を支援しています。

防災士として見ても、建物整備と生活レベルの防災対策を一体で進めることが、実効性の高い減災につながります。


■⑥ 国土強靱化計画での位置付け

令和7年6月に閣議決定された「第1次国土強靱化実施中期計画」では、密集市街地における火災予防・被害軽減策として、感震ブレーカーの設置推進が明確に位置付けられました。

令和12年までに、対象自治体の100%が設置目標を達成することが掲げられています。


■⑦ 被災地経験から見た感震ブレーカーの価値

被災地派遣やLOとして現場に立った際、地震直後に発生した火災が被害を一気に拡大させた場面を何度も見てきました。揺れそのものより、その後の火災で生活基盤を失った地域は少なくありません。

感震ブレーカーは「地味」な対策ですが、確実に命と暮らしを守る装置です。


■⑧ いま家庭でできる行動

自宅に感震ブレーカーが設置されているか確認すること、自治体の補助制度を調べることが第一歩です。特に木造住宅や密集地域に住んでいる場合は、優先度の高い防災対策と言えます。


■まとめ

感震ブレーカーの設置は、地震後の火災という最大の二次災害を防ぐ現実的な対策です。国・自治体・事業者が連携し、設置促進が本格化しています。

防災は「備えた家庭から助かる」。その一つの具体策として、感震ブレーカーの導入を検討する価値は十分にあります。


■出典

・首都直下地震対策検討ワーキンググループ報告書
・経済産業省 発表資料「感震ブレーカーの設置促進に向けた取組の強化」
・総務省消防庁 令和7年度補正予算資料
・国土交通省 第1次国土強靱化実施中期計画(令和7年6月閣議決定)

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