避難所生活で多くの人が強いストレスを感じる要因の一つが「入浴できないこと」です。
体を洗えない不快感は、疲労・不眠・気力低下につながり、結果として体調悪化を招きます。
近年注目されているのが、避難所の入浴を「楽しい」「前向きな時間」に変える発想です。
これは贅沢ではなく、回復力を高めるための実践的な防災対策です。
■① なぜ避難所で入浴が重要なのか
入浴は単なる清潔維持ではありません。
・血流を改善する
・筋肉の緊張を和らげる
・睡眠の質を高める
・心理的安心感を与える
災害時は交感神経が過度に働き、心身が休まらない状態が続きます。
入浴は、数少ない「副交感神経を優位にできる行為」です。
■② 「楽しい入浴」がもたらす心理的効果
避難所での入浴は、どうしても
・気まずい
・申し訳ない
・落ち着かない
と感じやすいものです。
ここに「楽しさ」や「ワクワク感」を加えることで、行動のハードルが大きく下がります。
・入りたいと思える
・笑顔が生まれる
・会話が増える
これはメンタルケアとして非常に大きな意味を持ちます。
■③ 災害時入浴の代表例
実際の災害現場では、さまざまな工夫が行われてきました。
・自衛隊の入浴支援(仮設風呂・給湯車)
・移動式シャワートラック
・仮設浴槽(テント型・コンテナ型)
これらは「体を洗う」以上に、
日常を思い出させる時間を提供してきました。
■④ 楽しい入浴を生む具体的アイデア
避難所入浴を前向きにする工夫には、次のようなものがあります。
・照明を暖色にする
・簡単な音楽を流す
・時間帯を「入浴タイム」として演出
・子ども向けにイラスト掲示
ほんの小さな演出でも、「特別な時間」になります。
■⑤ 入浴は「回復フェーズ」のスイッチ
防災にはフェーズがあります。
・発災直後:生き延びる
・応急期:耐える
・復旧期:回復する
入浴は、この「回復期」に入る合図のような役割を果たします。
楽しい入浴は、「もう一段階、前に進める」という感覚を与えます。
■⑥ トイレと同じく「恥ずかしさ」への配慮が重要
入浴もトイレと同様、恥ずかしさが大きな障壁になります。
・仕切り
・視線対策
・男女・家族配慮
これらを丁寧に設計することで、利用率と満足度は大きく変わります。
■⑦ 入浴は心のケアであり、防災インフラ
避難所入浴は「あると良い」ものではありません。
・健康被害の予防
・ストレス障害の軽減
・人間らしさの回復
を支える、重要な防災インフラです。
■まとめ|楽しい入浴は「生きる力」を取り戻す
避難所での入浴を楽しいものにする工夫は、
・体を整える
・心を緩める
・人をつなぐ
という三つの役割を果たします。
「楽しい入浴」は、災害時に人が人らしく生き続けるための、
立派な防災対策です。
出典
内閣府 防災白書(入浴支援・避難生活に関する記述)

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