【防災士が解説】防災×災害関連死|「一か月避難・半年避難」が命を守る理由

大規模災害では、発災直後の対応以上に、その後の「避難の長さ」が生死を分けます。
近年の災害対応や検証から明らかになってきたのが、一か月避難・半年避難という時間軸の避難が、災害関連死を防ぐうえで極めて有効だという事実です。


■① 災害関連死は「初動後」に起きる

災害関連死の多くは、発災直後ではなく、

・数日後
・数週間後
・数か月後

に集中します。

原因は、
低体温・脱水・持病悪化・栄養不足・睡眠障害・強いストレスなど、生活の質の低下です。


■② 「その場にとどまる避難」の限界

被災地にとどまる避難は、初期段階では重要です。
しかし、

・断水・停電の長期化
・寒暖差の大きい環境
・トイレ・入浴・洗濯の制限
・医療・介護の不安定化

が続くと、身体と心は確実に消耗します。

この状態が数週間続くことが、災害関連死の引き金になります。


■③ 一か月避難がもたらす効果

発災後おおむね一か月を目安に、

・通常のライフラインがある地域
・医療・福祉体制が整った場所
・親族・知人宅や受け入れ施設

へ避難することで、次の変化が起きます。

・睡眠の質が回復する
・食事量と栄養が安定する
・体調悪化に早く気づける
・精神的な緊張が緩む

これだけで、災害関連死のリスクは大きく下がります。


■④ 半年避難は「回復の時間」を確保する

被災は、身体だけでなく心にも深いダメージを残します。

・判断力の低下
・意欲の低下
・慢性的な不安
・無理を続けてしまう心理

これらは、数週間では回復しません

半年程度の避難期間を設けることで、

・体調の再構築
・生活リズムの安定
・通院・服薬の継続
・心理的な安心感の回復

が可能になり、「静かな関連死」を防ぎます。


■⑤ 避難は「我慢」ではなく「選択」

長期避難というと、

「迷惑をかける」
「甘えている」
「早く戻らなければ」

と感じる人も少なくありません。

しかし、防災の視点では逆です。

生き延びるための合理的な選択であり、
命を守るための正当な行動です。


■⑥ 分散・遠方避難が果たす役割

一か月・半年避難は、

・全員が同じ場所に行く
・避難所に居続ける

ことを意味しません。

分散避難や遠方避難により、

・人の密集を防ぐ
・支援資源を分け合う
・通常生活に近い環境を確保する

ことが可能になります。

結果として、避難そのものが健康リスクにならない状態をつくれます。


■⑦ 災害関連死を防ぐ防災の再定義

これからの防災では、

・いつ戻るか
ではなく
・いつまで離れるか

を考える視点が重要です。

一か月避難、半年避難は、
「復旧が遅いから」ではなく、
命を守るための時間設計です。


■まとめ|長く離れることが命をつなぐ

災害関連死を減らす最大のポイントは、

・無理をしない
・我慢を続けない
・回復する時間を確保する

ことです。

一か月避難、半年避難は、
災害から逃げる行為ではありません。

生きて戻るための防災行動です。


出典

内閣府 防災白書(災害関連死・長期避難に関する記載)

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