【防災士が解説】防災×ウクライナ食料自給率|145%の国から学ぶ“本当の食料安全保障”

ウクライナは「食料自給率145%」と評価されることがあります。
これは国内消費を大きく上回る生産力を持つことを意味します。

しかし、防災の視点で見ると重要なのは数字そのものではありません。
本当に守るべきは「平時に回る仕組み」と「非常時に止まらない構造」です。


■① 食料自給率145%とは何を意味するのか

食料自給率が100%を超えるとは、

・国内消費量以上に生産している
・輸出可能な余力がある
・世界市場へ供給できる立場にある

という状態です。

ウクライナは小麦・とうもろこし・ひまわり油などで世界有数の生産量を誇り、「欧州の穀倉地帯」と呼ばれてきました。


■② なぜウクライナは高い自給力を持つのか

主な理由は、

・広大で肥沃な黒土地帯
・大規模農業経営
・穀物中心の生産構造
・輸出志向型農業政策

国内需要よりも多く生産する「余剰型構造」があることが強みです。


■③ しかし“自給率=安全”ではない理由

紛争が始まると、

・港湾封鎖
・鉄道・道路の破壊
・農地の利用不能
・労働力不足

といった問題が発生しました。

生産力があっても「運べない」「売れない」状況になれば、供給は不安定になります。


■④ 防災視点で見る食料安全保障の本質

食料安全保障は単なる自給率ではなく、

・生産力
・流通力
・備蓄力
・分散力

この4つのバランスです。

災害でも戦争でも、止まりやすいのは“流通”です。


■⑤ 日本との比較で見える現実

日本の食料自給率(カロリーベース)は約38%前後とされます。

一方で、日本は

・多様な輸入先
・国家備蓄制度
・民間在庫
・高度な物流網

を持っています。

数字だけで強弱は語れません。


■⑥ 現場で多かった誤解

防災士として感じる誤解は、

「国がなんとかしてくれる」

という前提です。

実際の被災地では、最初の数日間は“自分で持っている食料”が命綱になります。

行政は動きますが、同時多発災害では即座に全員へ行き渡るとは限りません。


■⑦ 家庭でできる“自律型備蓄”

国家レベルの自給率よりも、

・最低3〜7日分の家庭備蓄
・ローリングストック
・水の確保
・調理不要食品の準備

が現実的な防災力です。

備蓄は「積む」のではなく「回す」ことが重要です。


■⑧ 数字よりも“構造”を見る

自給率145%でも戦争で不安定になる。
自給率38%でも物流が動けば安定する。

本質は「止まらない仕組み」を持つことです。

国家も家庭も同じです。


■まとめ|食料安全保障は“数字”ではなく“止まらない力”

ウクライナの高い食料自給率は強みです。
しかし、紛争下では流通・インフラが大きく影響しました。

結論:
食料安全保障とは“作れる力”よりも“止まらない仕組み”である。

被災地派遣の経験から言えば、最初に頼れるのは「自分が持っている分」です。
国家の数字ではなく、家庭の準備が命を守ります。

出典:
StatRanker「Top 10 Countries by Food Self-Sufficiency Ratio」

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