南海トラフ地震は、100~200年周期で繰り返す巨大地震として知られています。
しかし、専門家の間ではもう一つ重要な視点があります。
それが――
南海トラフ地震の前後に、西日本で内陸地震が活発化する「活動期」があるという学説です。
2026年1月、島根県でM6.4の地震が発生しました。
南海トラフとの直接的な因果関係は断定できませんが、「活動期」という視点で考えることは、防災上とても重要です。
■① 南海トラフ地震とは何か
南海トラフは、静岡県沖から宮崎県沖まで続くプレート境界です。
フィリピン海プレートが、ユーラシアプレートの下に年3~5cm沈み込んでいます。
このひずみが限界に達したとき、
巨大地震が発生します。
■② 「活動期」と「静穏期」という考え方
故・宇津徳治氏は1974年の論文で、
・南海トラフ地震前50年間
・南海トラフ地震後10年間
この約60年間を「活動期」と定義しました。
この期間に発生した被害地震は73回。
それ以外の「静穏期」は24回。
約3倍の差があったとされています。
■③ 活動期に何が起きるのか
巨大地震そのものだけでなく、
・内陸直下型地震
・M6クラスの地震
・広域の被害地震
が増える傾向があるとされます。
つまり、
「南海トラフだけを警戒する」のは不十分ということです。
■④ 島根・鳥取地震との関係は?
2026年1月6日、島根県でM6.4の地震が発生しました。
現在の科学では、
個別の地震と南海トラフとの直接的関連を断定することはできません。
しかし、
・西日本の内陸地震リスクが高まる可能性
・広域で同時多発的に備える必要性
は、専門家も警鐘を鳴らしています。
■⑤ よくある誤解
防災士として現場で多かった誤解は、
「南海トラフは海だから、内陸は関係ない」
という思い込みです。
実際は逆です。
巨大地震の前後こそ、
内陸地震のリスクを考える必要があります。
■⑥ 行政が言いにくい本音
正直に言えば、
「いつ起きるかは分からない」
これが現実です。
だからこそ行政は、
・想定震源域
・被害想定
・避難計画
を示しますが、
“連動の可能性”までは断言できません。
備えは、
想定外を前提にするしかないのです。
■⑦ 自律型避難の視点
南海トラフだけを待つのではなく、
・内陸地震
・停電
・断水
・交通寸断
にも備える。
自律型避難とは、
「特定の災害だけに依存しない備え」です。
■⑧ 今できる具体的な備え
・家具固定
・夜間の避難経路確保
・最低3日分の水と食料
・枕元に靴とライト
巨大地震か内陸地震かを分けて備える必要はありません。
基本の備えは共通です。
■まとめ|南海トラフ“だけ”を見ない
結論:
南海トラフに備えるとは、西日本全体の地震リスクに備えること。
防災士として感じるのは、
「想定震源域」だけに意識を集中すると、足元のリスクを見落とすということです。
地震は一つではありません。
備えは“面”で考えることが、壊れない防災につながります。
出典:宇津徳治「南海道沖地震の前後における地震活動の変化」(1974年)

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