「ニュースは読まれなくなった」
そんな言葉を耳にする機会が増えました。
しかし本当にニュースは価値を失ったのでしょうか。
最新の国際調査が示しているのは、
ニュースの価値の消滅ではなく、
“届き方”と“使われ方”の変化です。
防災の現場にいる立場から見ても、
この変化は命に直結します。
■① ニュースは減ったのではなく「経路」が変わった
検索エンジンやSNSから
ニュースサイトへの流入は減少傾向にあります。
AIが検索結果で要点を提示し、
SNSはリンクより動画や投稿を優先する設計に変わりました。
ニュースは読まれている。
しかし、元のメディアに届かない。
この構造変化が起きています。
■② AIが担う「要約」と人間が担う「判断」
AIは、
・速報の要約
・事実の整理
・データ抽出
を高速で処理できます。
しかし、
・現場の空気
・当事者の声
・背景にある構造
・責任の所在
これらは簡単には要約できません。
防災でも同じです。
数値だけでは命は守れない。
文脈が必要です。
■③ 防災情報こそ「競争しない領域」を選ぶべき
AI時代に重要なのは、
“どこで戦わないか”を決めること。
天気予報や一般的なまとめ情報は、
AIが即座に提示できます。
しかし、
・地域特有のリスク
・過去災害の教訓
・行政の実務的課題
・避難所の現実
こうした情報は、
現場経験と取材が必要です。
ここにこそ防災情報の価値があります。
■④ フェイク動画と防災の危険性
AIによる偽動画や改ざんコンテンツは、
政治だけの問題ではありません。
災害時に、
・偽の避難情報
・誤った危険予測
・加工された映像
が拡散すれば、
命に関わります。
防災では、
「拡散の速さ」よりも
「検証の確実さ」が重要です。
■⑤ 要約時代に必要な“訂正力”
ニュースの役割は、
伝えることだけではありません。
・誤りがあれば訂正する
・文脈を補足する
・異なる立場を並べる
この作業は、
時間がかかります。
効率は悪い。
しかし信頼はそこから生まれます。
■⑥ 防災士として現場で感じた誤解
多かった誤解は、
「SNSで流れてきたから正しい」
という判断です。
災害時ほど、
人は不安から“早い情報”に飛びつきます。
しかし、
正確さは速度より重い。
これは現場で何度も感じたことです。
■⑦ エージェント型AIと“測れない利用”
AIがニュースを要約し、
読み上げ、
再構成する時代。
記事が「そのまま読まれる」ことは減ります。
しかしそれは、
価値が消えたという意味ではありません。
情報の“原本”を持つ存在が必要です。
防災情報も同様です。
■⑧ 要約されても残るもの
要約されても残るものは何か。
・責任を持った発信
・検証可能な根拠
・現場視点
・訂正の姿勢
これらは、
AIが完全に代替できない領域です。
■まとめ|AI時代こそ防災情報の質が問われる
結論:
ニュースは減っていない。役割が選別されているだけだ。
防災士として確信しているのは、
要約される時代ほど、
“判断材料としての一次情報”が重要になるということ。
防災は、
早さよりも確かさ。
AIと共存しながらも、
信頼の軸を持つ。
それがこれからの防災情報のあり方です。
出典:Reuters Institute for the Study of Journalism『Journalism, Media and Technology Trends and Predictions 2026』

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