災害時、最も深刻になる問題の一つが「トイレ」です。
食料や水と違い、
“見えにくい備え”であるため後回しにされがちです。
しかし、防災士として現場や被災地の声から学んだことは明確です。
トイレ問題は、
命に直結する二次災害です。
今回は、備蓄率28.8%という現実を踏まえ、
「フェーズフリー」という発想から解決策を考えます。
■① 災害時に起きる“トイレパニック”とは
大規模災害では
・下水道の停止
・仮設トイレ不足
・バキュームカー不足
が重なります。
仮設トイレが届くまで数日〜数十日。
その間、排泄環境は急激に悪化します。
これが「トイレパニック」です。
■② 命を脅かす二次被害
トイレを我慢することで
・水分摂取を控える
・脱水症状
・エコノミークラス症候群
・関連死
へと連鎖します。
実際、東日本大震災でも
排泄環境の悪化が健康被害に繋がった事例が報告されています。
“我慢”は防災ではありません。
■③ なぜ備蓄が進まないのか
調査では、
災害用トイレの備蓄率は28.8%。
約8割が「必要性は認識」しています。
それでも進まない理由は
・正常性バイアス(まだ大丈夫)
・置き場所がない
・使う機会がない
という心理的・物理的ハードルです。
■④ フェーズフリーという解決策
そこで注目されるのが
「フェーズフリー」の発想。
日常と非常時を分けない考え方です。
日常で使っているものが、
そのまま災害時にも役立つ。
これなら
・しまい込まない
・忘れない
・自然に備えられる
という循環が生まれます。
■⑤ 多機能型簡易トイレという選択
例えば折りたたみ式簡易トイレは、
・簡易トイレ
・コンテナ収納
・椅子(耐荷重100kg)
・踏み台
・ゴミ箱
として日常利用できます。
「備蓄専用品」にしないことが最大のポイントです。
使っている=備えている
という状態を作れます。
■⑥ 収納問題の解消
厚さ約10cmに折りたため、
車のトランクや玄関収納にも収まります。
ナップサック型収納で背負えるため、
避難時も両手が自由。
防災では
“移動のしやすさ”が安全を左右します。
■⑦ 防災士から見た実際に多かった失敗
現場で多かったのは、
「トイレは行政が何とかしてくれると思っていた」
という誤解です。
仮設トイレはすぐには来ません。
来ても足りません。
行政側が言いにくい本音は、
“自助の備えが前提”という現実です。
■⑧ 今日できる最小行動
・簡易トイレを1つ用意する
・日常用途で使い始める
・家族と使い方を共有する
これだけで、
“28.8%の壁”を越えられます。
防災は、
特別な日だけの行動ではありません。
■まとめ|トイレは“尊厳を守る備え”
トイレは、
命と尊厳を守るインフラです。
備えない理由は、
心理的ハードルだけです。
結論:
「しまい込む備蓄」から「使い続ける備え」へ。フェーズフリーこそトイレパニックの現実的解決策です。
防災士として強く感じるのは、
排泄環境が整うだけで避難生活のストレスは激減するという事実です。
小さな備えが、
大きな安心を生みます。
■出典
日本トイレ研究所「東日本大震災3.11のトイレ‐現場の声から学ぶ‐」
https://www.toilet.or.jp/library/

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