大規模災害が起きたとき、
本当に足りるのか。
救助隊は何人必要か。
救急車は何台必要か。
搬送には何分かかるのか。
これまで“想定”はありましたが、
より実践に即した数値化へと進み始めています。
今回は、政府が創設する「防災力強化総合交付金」と、
救助活動の数値化が意味するものを解説します。
■① なぜ「数値化」が必要なのか
南海トラフ地震や日本海溝・千島海溝地震では、
甚大な人的被害が想定されています。
これまでの地域防災計画では、
・死者数
・負傷者数
・建物倒壊数
といった被害想定が中心でした。
しかし、
「その後どう動くか」までの具体性は十分とは言えません。
■② 救助活動を“実践想定”へ
今回の取り組みでは、
・救助に必要な人員数
・救急車の必要台数
・トリアージ体制
・医療救護所の必要数
・道路損壊時の搬送時間
までを市町村単位で数値化します。
つまり、
「助ける側のキャパシティ」を見える化するということです。
■③ 何が見えてくるのか
数値化によって、
・救助人員が何人不足するのか
・救急車が何台足りないのか
・医療拠点の機能は何時間で限界を迎えるのか
が具体的に把握できます。
弱点を事前に知ることは、
最大の防災対策です。
■④ 防災力強化総合交付金の創設
政府は来年度、
「防災力強化総合交付金」を創設。
当初予算案に35億円を計上しました。
初年度は
南海トラフ地震想定地域などを中心に対象自治体を選定予定です。
目的は、
机上の計画から“実戦型計画”への転換です。
■⑤ 防災庁の新設と伴走支援
今年中には「防災庁」が新設予定です。
内閣府防災担当約220人体制から、
発足時352人へ増員。
自治体ごとの担当制で、
伴走型支援を行います。
厚生労働省とも連携し、
災害拠点病院との調整も強化されます。
■⑥ 元消防職員として感じる現場の現実
現場では、
想定を超える負傷者が一斉に発生します。
トリアージは秒単位の判断。
搬送先が満床になることも珍しくありません。
「救急車を呼べば来る」
という前提は、大規模災害では崩れます。
だからこそ、
事前の数値化は非常に重要です。
■⑦ 行政側が言いにくい本音
正直に言えば、
どんな自治体でも“完璧な備え”は不可能です。
人員も車両も無限ではありません。
だからこそ重要なのは、
自助・共助の強化です。
・軽症者は自力移動
・地域内での応急手当
・搬送依存の最小化
これが被害を減らします。
■⑧ 今日、私たちができること
・応急手当を学ぶ
・近隣の医療機関を把握する
・家族の集合場所を決める
・防災計画を確認する
救助を待つ側ではなく、
“支え合える側”になることが重要です。
■まとめ|数字は命を守るための道具
救助活動の数値化は、
冷たい計算ではありません。
命を守るためのリアルな準備です。
結論:
「想定死者数」だけでなく「救える人数」まで考える防災へ進化している。
元消防職員として断言します。
現場は計画通りにはいきません。
だからこそ、
事前に限界を知り、補う仕組みを作る。
それが、本当の事前防災です。
■出典
内閣府「防災力強化総合交付金(令和7年度予算案関連資料)」
https://www.bousai.go.jp/

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