【元消防職員が解説】防災×自治体規模|東京一極集中が抱える“避難所不足”という構造問題

大都市を直撃する大災害。

そのとき、
あなたは本当に避難所に入れるでしょうか。

東京や横浜のような巨大自治体では、
住民数に対して避難所が足りないという
構造的な問題が存在します。

これは偶然ではなく、
「効率性」を優先してきた都市構造の帰結です。


■① 巨大自治体は“守り”が弱くなる

自治体の本来の使命は何か。

それは
「今日と同じように明日も暮らせることを保障すること」

つまり、
市民生活の“ディフェンダー”です。

しかし、
人口が極端に集中した都市では
一人ひとりを守る仕組みが追いつきません。

効率化は進んでも、
災害対応力は比例して強くならないのです。


■② 大都市で起きる現実

実際に起きていること。

・河川氾濫情報が出ただけで避難所が満員
・段ボールベッドや間仕切り不足
・高齢者や要配慮者が入れない
・車中泊や損壊自宅での滞在

大規模地震が発生した場合、
避難所は瞬時に飽和します。

これは“想定外”ではなく、
人口密度の必然です。


■③ 元消防職員として見た初動の混乱

被災地で何度も見てきました。

最初にパンクするのは
「避難所」と「情報」です。

入れない人があふれ、
どこに行けばよいかわからず、
支援物資も届かない。

大都市ほど、
初動混乱は大きくなります。


■④ なぜ巨大自治体は脆いのか

理由は3つあります。

  1. 住民数に対し施設が不足
  2. 行政区が広く現場把握が遅れる
  3. 市民同士の顔が見えない

自治体は
“全員を対象にする組織”です。

しかし、
規模が大きすぎると
一人ひとりが見えなくなる。

これが構造的欠陥です。


■⑤ 東京一極集中のリスク

東京には
政治・経済・物流・情報が集中しています。

南海トラフや首都直下地震が起きれば、

・交通麻痺
・帰宅困難者数百万人
・避難所収容超過
・物資供給遅延

パニックは不可避です。

これは悲観論ではなく、
人口と施設数の単純計算から導かれる現実です。


■⑥ 解決策:分散と“面識圏防災”

巨大自治体の弱点を補う
一つの解決策は

「生活圏単位の防災力強化」

です。

具体的には

・マンション単位の備蓄
・企業との避難所協定
・民間スペースの事前登録
・町内会単位の救助訓練

行政頼みから
“分散型共助”へ。

これが都市防災の現実解です。


■⑦ 市民自治が鍵になる

自治体は
“強制加入団体”です。

そこに住む以上、
全員が対象になります。

だからこそ、

市民がガバナンスできる規模

が重要です。

顔の見える範囲での意思決定。

それが災害時の強さにつながります。


■⑧ 防災の本質は“守り”

自治体の使命は
「稼ぐこと」ではありません。

守ることです。

大都市制度の議論はあっても、
まず考えるべきは

・避難所は足りているか
・要配慮者は守れるか
・仮設住宅は確保できるか

巨大化した構造を前提にするのではなく、
守れる単位へ再設計する。

これが、
これからの都市防災です。


■出典
今井照『自治体は何のためにあるのか』(岩波新書)

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