【防災士が解説】防災×帰宅困難者|万博トラブルが示した“地震以外”の盲点

昨夏の大阪・関西万博会場。

閉場間際に鉄道が停止し、
約1万1千人が熱帯夜の中で足止めされました。

・自動販売機は売り切れ
・給水所は長蛇の列
・体調不良者が続出
・会場内で一夜待機

これは地震ではありません。

鉄道トラブルです。

そしてこの事例を受け、内閣府は帰宅困難者対策指針を改定しました。


■① 帰宅困難者は地震だけではない

これまでの指針は、

「大規模地震」を前提に作られていました。

しかし現実は、

・暴風
・豪雨
・大雪
・通信障害
・鉄道トラブル
・遠地地震による津波警報

など、原因は多様です。

災害“以外”でも都市は止まる。

ここが今回の最大の教訓です。


■② 万博で露呈した盲点

万博会場は人工島・夢洲。

アクセスの大半を鉄道に依存。

鉄道停止=島内孤立。

災害想定はあったが、
「通常トラブルによる大量滞留」は想定外。

結果として、

・誘導路に群衆滞留
・熱中症リスク
・飲料不足
・夜間滞在スペース不足

が発生しました。


■③ 改定指針のポイント

今回の改定では、

・大規模イベントも想定対象に追加
・地震以外の原因を明記
・主催者と自治体・交通機関の連携強化
・分散退場計画の事前策定
・一時滞在施設の確保
・多言語対応強化
・モバイルバッテリー提供の推奨

が盛り込まれました。

「待たせる前提」で備える。

ここが大きな転換点です。


■④ 首都直下地震では最大840万人

政府想定では、

首都直下地震発生時
最大840万人が帰宅困難に。

さらに
観光客65万〜88万人が滞留。

南海トラフ地震では
最大約400万人。

これは“特別なイベント”の話ではありません。

日常そのものがイベント規模です。


■⑤ 現場視点で見る本当のリスク

帰宅困難で最も危険なのは、

・群衆雪崩
・熱中症
・低体温
・救急車両の通行妨害

東日本大震災でも
無理な徒歩帰宅で混乱が拡大しました。

原則は、

「むやみに動かない」

です。


■⑥ 個人が備えるべきこと

行政の備えとは別に、

個人でできる対策は明確です。

・モバイルバッテリー
・500ml飲料2本
・軽食
・常備薬
・防寒具(夏も夜は冷える)
・小型ライト

これは“通勤バッグ防災化”です。


■⑦ 遠地地震という新たな視点

ロシア・カムチャツカ半島地震の津波警報では、

日本到達前から鉄道運休。

遠地地震は

・到達まで時間がある
・長時間警報が続く

という特性があります。

この時間を使い、

・早期帰宅
・出勤抑制

を行えば滞留抑制が可能。

タイムライン設計が重要です。


■⑧ まとめ|帰れない前提で備える

これからの都市防災は、

「帰れない」
を前提に設計する時代です。

帰宅困難は
地震だけの問題ではありません。

熱帯夜でも、豪雨でも、通信障害でも起きる。

だからこそ、

・動かない勇気
・備える習慣
・分散退場
・一時滞在施設整備

が命を守ります。

都市は止まる。

しかし命は止めない。

その準備を、今日から。


出典:内閣府「帰宅困難者対策に関する指針」改定(2026年1月)

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