【元消防職員・防災士が解説】防災×被災者データベース|「探す支援」から「届く支援」へ

災害後、本当に怖いのは
「助けがあるのに届かない」ことです。

物資も制度もある。
しかし――

・誰がどこにいるのか分からない
・在宅避難者を把握できない
・申請できない高齢者が取り残される

この“情報断絶”が、命を削ります。

その断絶を埋めるのが
被災者データベースです。


■① 被災者データベースとは何か

被災者データベースとは、

・避難所名簿
・住家被害情報
・罹災証明発行状況
・支援金申請状況
・要配慮者情報

これらを「人単位」で統合管理する仕組みです。

バラバラの情報を
“世帯”ではなく“個人”でつなぐ。

これが最大のポイントです。


■② なぜ必要なのか

過去の災害では、

・重複申請
・未申請の取りこぼし
・高齢者が制度を知らない
・二次避難先の所在不明

といった問題が繰り返されてきました。

令和6年能登半島地震では、

・高齢化率50%超の地域
・山間部孤立
・広域二次避難

が重なり、情報把握が極めて困難になりました。

私はLO(リエゾン)として現地調整に関わりましたが、

「名簿が一本化されていない」

これが現場の共通課題でした。

避難所にいる人は分かる。
しかし在宅避難や広域避難は追えない。

支援が“探す作業”になっていたのです。


■③ 能登で進んだ防災DX

石川県では、デジタル庁支援のもと
日本初の被災者データベースを構築。

目的は明確です。

・在宅避難者も含めた全体把握
・罹災証明と支援金の連動
・要配慮者の即時抽出

「探す支援」から
「届く支援」への転換。

これは防災DXの核心です。


■④ データ鮮度が命を分ける

ただし、システムは万能ではありません。

重要なのは運用です。

・入力の正確性
・リアルタイム更新
・個人情報保護
・停電時バックアップ

私は元消防職員として、
情報が古いことで救助が遅れた現場を見てきました。

データは
“入っている”だけでは意味がない。

“最新であること”が命綱です。


■⑤ 住民の協力が精度を上げる

被災者データベースは行政だけの仕事ではありません。

・正確な申告
・住所変更の届け出
・家族情報の共有

これが精度を上げます。

情報は
支援のエネルギーです。


■⑥ 命をつなぐインフラ

災害関連死は、
ストレス・感染症・医療遅れなど
「直接死の後」に起こります。

被災者データベースは、

・孤立を減らし
・支援の遅れを防ぎ
・命をつなぐ

“静かなインフラ”です。

派手ではない。
しかし確実に命を支える。


■結論

・情報断絶が命を削る
・統合管理が支援精度を上げる
・運用力が成功を左右する
・住民協力が完成度を高める

命を守るのは初動。
命をつなぐのは情報。

被災者データベースは、
その橋渡しです。


【出典】
内閣府 防災情報ポータル
https://www.bousai.go.jp/

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