【元消防職員が解説】防災×山林火災|再燃するリスクと住民が取るべき行動

埼玉県秩父市浦山で発生した山林火災は、一度「鎮圧」と発表された後に再び燃え広がる状況が確認されました。焼失面積は約40ヘクタールに及び、県は自衛隊に災害派遣を要請しています。

山林火災は一度勢いが弱まっても、風や地形の影響で再燃することがあります。
今回は「再燃」という視点から、住民が取るべき防災行動を整理します。


■① 山林火災が再燃する理由

山林火災は地表の火だけでなく、落ち葉や枯れ枝の下、倒木の内部などで“くすぶり”が続くことがあります。
表面上は鎮圧状態でも、夜間の風向き変化や乾燥で再び燃え広がることがあります。

山火事は「見えない火」との戦いでもあります。


■② 今回の秩父市浦山の状況

・2月4日午後4時前に出火
・県防災ヘリが消火活動
・一度は鎮圧発表
・夜間の見回りで再燃確認
・焼失面積は約40ヘクタール
・自衛隊に災害派遣要請

山のふもとには住宅が約10軒ありますが、現在は山頂方向へ延焼しているため避難呼びかけは出ていません。


■③ 「鎮圧」と「鎮火」の違い

ここが重要なポイントです。

・鎮圧=延焼の拡大が抑えられた状態
・鎮火=完全に火が消えた状態

防災士として現場で多く見た誤解は、「鎮圧=もう安全」という思い込みです。
実際は再燃リスクが残っています。


■④ 山林火災で注意すべき気象条件

・乾燥
・強風
・夜間の風向き変化
・急斜面地形

火は斜面を上へ上へと進みます。
今回も山頂方向へ燃え広がっています。


■⑤ 住民が今できる備え

現時点で避難指示がなくても、以下を確認してください。

・避難経路の確認
・車の燃料確認
・重要書類の準備
・防災リュックの再点検
・マスクの準備(煙対策)

山林火災では煙が長時間続きます。呼吸器疾患のある方は特に注意が必要です。


■⑥ 被災地派遣で感じた現実

山火事現場でLOとして調整に入った経験がありますが、延焼方向は予測どおりに進まないことがあります。
「大丈夫だろう」という空気が最も危険です。

行政側が言いにくい本音として、自然条件には完全に勝てないという現実があります。
だからこそ、住民の自律型避難意識が重要になります。


■⑦ 自衛隊派遣の意味

自衛隊派遣は、火勢が強く長期化の可能性があるという判断です。
空中消火や広域支援が必要な規模ということです。

ただし、派遣=即鎮火ではありません。
時間との戦いになります。


■⑧ 山林火災から命を守る基本姿勢

・煙を軽視しない
・情報を継続的に確認する
・夜間こそ警戒する
・指示が出たら迷わず避難する

防災は「指示が出たら動く」だけではなく、「出る前から備える」ことです。


■まとめ|再燃を前提に動く

山林火災は一度弱まっても安心できません。
鎮圧と鎮火は違います。

結論:
山林火災では「まだ終わっていない」という前提で行動することが命を守ります。

元消防職員として現場で強く感じたのは、早めに動いた人ほど落ち着いて行動できるという事実です。
迷ったら準備を始める。それが正解です。

出典:TBS NEWS DIG(2026年2月6日配信)

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