災害や救急の現場では、
「早く伝える」よりも
「正確に伝える」ことが重要です。
島根県・安来市消防本部では、
DX推進事業の一環としてタブレット端末を配備し、
LINE WORKSを活用した病院連絡の円滑化に取り組んでいます。
これは単なるIT化ではありません。
命をつなぐ情報の最適化です。
■① なぜ救急現場で情報伝達が重要なのか
救急隊が病院へ連絡する際、
・傷病者の年齢
・既往歴
・バイタル
・意識レベル
・受傷機転
を正確に伝える必要があります。
電話のみでは、
聞き間違い
伝達漏れ
記録の不一致
が起きる可能性があります。
特に災害時は騒音や混乱も加わります。
■② 被災地で実際に起きた情報のズレ
被災地派遣(LO)として現場調整をしていた際、
「情報が正確に届いていない」
という場面を何度も経験しました。
搬送前情報と到着後の状態が違う。
共有資料が不足している。
その数分の差が、
処置の優先順位に影響します。
元消防職員として強く感じたのは、
情報は命そのものだということ。
■③ LINE WORKS活用の意義
安来市では、
タブレット端末+LINE WORKSを活用し、
・現場写真共有
・バイタル情報送信
・搬送前状況報告
・リアルタイム連絡
を可能にしています。
これにより、
医師側は事前準備が可能になります。
電話のみの時代よりも、
判断が早く、正確になります。
■④ 災害時に真価を発揮するDX
平時の救急だけではありません。
地震や豪雨など大規模災害時には、
同時多発的に傷病者が発生します。
電話回線が混雑しても、
データ通信が補完するケースがあります。
通信が不安定でも、
ログとして残る仕組みは強みです。
■⑤ 行政が言いにくい本音
現場は人手不足です。
少子高齢化で救急件数は増加傾向。
その中で、
効率化は不可欠。
DXは贅沢ではありません。
持続可能な消防体制の基盤です。
■⑥ 情報共有の“質”が変わる
LINE WORKSの活用は、
単なるメッセージ送信ではなく、
「共通認識の形成」
を可能にします。
医療と消防の連携強化は、
地域の耐災害力を高めます。
■⑦ 現場経験から見た理想形
東日本大震災や各地の災害派遣では、
無線・電話・口頭伝達に頼る場面が多くありました。
もし当時、
リアルタイム共有ツールが標準化されていれば、
負担は軽減されたはずです。
防災士として伝えたいのは、
技術は備えの一部だということ。
■⑧ 今日できる最小行動
企業や自治体に限らず、
・情報共有ツールの見直し
・緊急連絡体制の確認
・データ保存方法の整理
これだけでも防災力は上がります。
DXは都市部だけのものではありません。
地方の取り組みこそ、
全国のヒントになります。
■まとめ|DXは命を守る防災インフラ
備蓄も重要。
訓練も重要。
しかし、
情報が届かなければ意味がない。
安来市の取り組みは、
これからの消防・医療連携の一つのモデルです。
情報伝達の進化は、
地域全体の安心につながります。
■出典
近代消防(安来市消防本部・安来市立病院による事例紹介)

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