土砂災害の避難は、体より先に心が削れます。
・崩れた音が頭から離れない
・地面が揺れた感覚が残っている
・少しの物音でビクッとなる
・眠っても悪夢で起きる
・「また来るかも」と考えて止まらない
これは弱さではありません。
危険を体験した脳と体が、まだ“警戒モード”のままだからです。
ここでは、土砂災害の後に起きやすい「地響きの余韻」「悪夢」「過覚醒」を、避難所で少しでも落として眠るための現実的な方法をまとめます。
■① 悪夢が続くのは「脳が危険を再学習している」から
土砂災害は、音・振動・暗さがセットで記憶に残ります。
脳は、同じ危険を避けるために
・映像を繰り返す
・音を再生する
・体を緊張させる
という学習をします。
その結果、眠りが浅くなり、悪夢で起きます。
これは“異常反応”ではなく“生存反応”です。
ただし、長引くと体力が落ちるので、早めに整えるのが大切です。
■② 被災地で多かったのは「眠れない→警戒が増える」の悪循環
被災地派遣の現場でも、土砂災害の直後は特に、
・夜に眠れない
・日中も落ち着かない
・音に過敏になる
・体調が落ちる
という悪循環が目立ちました。
ここを断ち切る鍵は、
“安全の確認を終わらせる”ことと、“体の緊張を下げる”ことです。
■③ 今夜の最優先:「安全確認を1回で終わらせる」
不安が止まらない人ほど、頭の中で安全確認を繰り返します。
だから現実の確認を「1回」やって終わらせます。
・避難所の場所は安全圏か(スタッフに確認)
・今夜の警戒体制はどうなっているか(巡回・連絡方法)
・余震や雨の見通し(最低限の情報)
確認したら、情報探索を切ります。
情報を追い続けるほど、脳が興奮して眠れません。
■④ 地響きの余韻を減らす「体の落とし方」
過覚醒は、体が緊張している状態です。
体から落とす方が早いです。
■1)足裏を床に押しつける(30秒×3)
・足裏で床を感じる
・ゆっくり押して、ゆっくり抜く
体が“今ここ”に戻ります。
■2)肩を上げてストン(5回)
・肩を上げる
・息を吐きながら落とす
これだけで緊張が下がります。
■3)呼吸:4秒吸って8秒吐く(2〜3分)
吐く時間を長くすると、警戒モードが落ちやすいです。
■⑤ 悪夢を減らすコツは「寝る前に映像を切り替える」
寝る直前まで災害の映像を思い出すと、悪夢に入りやすいです。
そこで、寝る前に“別の映像”を入れます。
・家族の顔を思い出す
・いつもの部屋を思い出す
・好きな音楽を1曲だけ頭で流す
・「明日やることを3つ」だけ書く
ポイントは短時間です。
長く考えるほど脳が再興奮します。
■⑥ 眠れない時の正解は「寝ようとしない」
土砂災害の後は、眠れない夜があって当然です。
焦りが一番悪化させます。
正解は、
・目を閉じる
・横になる
・体温を守る
・呼吸を続ける
“眠れなくても回復できる形”にしておけば、翌日が変わります。
■⑦ 体温を守る(冷えは悪夢と緊張を増幅する)
避難所は冷えます。
冷えると筋肉が固まり、悪夢の起きやすさも上がります。
・首・手首・足首を冷やさない
・床からの冷えを切る(段ボール・毛布)
・上着を1枚増やす
体温が整うと、心も落ちやすいです。
■⑧ 長引くときの目安(相談していいサイン)
数日たっても、
・悪夢が毎晩続く
・日中も強い不安が止まらない
・物音で強く反応する
・食事が取れない
場合は、避難所スタッフや保健師に相談してOKです。
早めに話すほど回復が早いことがあります。
■まとめ:土砂災害の悪夢は“安全確認を終わらせ、体から落とす”で軽くなる
1)安全確認は1回で終える(スタッフに確認)
2)足裏・肩・呼吸で体の警戒を落とす
3)寝る前に映像を切り替える(短時間)
4)眠れなくても横になり体力温存
5)冷えを切って緊張の増幅を止める
6)長引くなら相談していい(正常な対応)
土砂災害の後に眠れないのは、あなたが弱いからではありません。
脳と体が、命を守るために働いているだけです。
仕組みで落とせば、眠りは戻ってきます。

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