地域防災力は、備蓄の量ではなく「人のつながりと事前の学び」で決まります。地域住民・学校・企業が連携し、子どもから大人までが実践を通じて学ぶ——それが「コミュニティ防災教育」の中核です。
この記事では、防災士の視点から、コミュニティ防災教育推進事業の考え方を整理し、明日から始められる具体策に落とし込みます。
■①コミュニティ防災教育とは何か
コミュニティ防災教育は、地域住民・団体、教育機関(学校等)、地元企業等が連携し、地域全体で防災教育の実践活動を進める取り組みです。
・防災意識の向上
・自発的な防災活動の促進
・事前防災能力の底上げ
・地域を担う意識の醸成
単発の訓練ではなく、「続く学び」を設計することが特徴です。
■②モデル地区の実践に学ぶ“3つの型”
令和7年度のモデル地区では、実践が大きく3つの型に整理されています。
・学校等教育機関を拠点とした実践
・地域が主体となった実践
・多様性・多分野に関する実践
成功の共通点は、「役割を明確にし、小さく始め、見える成果を共有する」こと。防災は理想論より、具体的な一歩が続く設計が重要です。
■③“誰をどう巻き込むか”が継続の鍵
シンポジウムのテーマにもある通り、鍵は「誰をどう巻き込むか・何から始めるか・どう継続するか」です。
・学校は“場”を提供する
・自治会は“声かけ”を担う
・企業は“物資や人材”で支える
・子どもは“家庭への伝達者”になる
役割が重複せず、補完し合う構造をつくると、活動は安定します。
■④被災地で感じた“地域差”の正体
被災地派遣やLOとして関わる中で感じたのは、地域差は「備蓄量」よりも「普段の関係性」で決まるということです。
・顔の見える関係がある地域は初動が早い
・役割分担が決まっている地域は混乱が少ない
・子どもが避難経路を言える地域は強い
防災教育は知識の詰め込みではなく、「動ける関係づくり」だと実感しました。
■⑤明日から始める“超小規模プロジェクト”
いきなり大規模な事業を目指す必要はありません。最初の一歩は小さくて十分です。
・学校で「家庭に伝える1枚資料」を配布
・自治会で“避難の二択ルール”を共有
・企業で昼休みに15分の防災ミニ講話
継続できるサイズに落とすことが、最大の成功要因です。
■⑥判断を軽くする“地域の共通言語”を作る
地域防災力を高める本質は、「判断を軽くする共通言語」です。
・警戒レベル〇で“動く”
・この川位で“出る”
・夜は“無理に移動しない”
基準が共有されると、家族会議や近隣の迷いが減ります。判断の重さが下がることが、行動の速さにつながります。
■⑦子どもを中心に据える意味
幼少期からの事前防災能力の向上は、単なる知識教育ではありません。
・家庭内での会話が増える
・親世代の意識が変わる
・地域活動の担い手が育つ
子どもを起点にすると、防災は“イベント”ではなく“文化”に近づきます。
■⑧続けるための設計|成果を“見える化”する
活動が止まる最大要因は、「やっている実感が薄いこと」です。
・参加者数を記録する
・改善点を次回に反映する
・写真や資料を共有する
小さな成功体験を積み上げることで、地域は自走し始めます。
■まとめ|地域防災力は“つながりの設計”で伸びる
コミュニティ防災教育は、特別なことをする事業ではありません。地域の中にある力をつなぎ直し、続く形に整える取り組みです。
結論:
地域防災力を高める最短ルートは、「小さく始めて、役割を決めて、続ける」ことです。
防災士として現場に関わる中で確信しているのは、助かった地域は“訓練回数が多い”のではなく、“顔が見える関係ができていた”ということです。明日やることは一つで十分です。地域の誰か一人と、防災の話題を5分だけ共有する。そこから、コミュニティ防災は動き始めます。
出典:内閣府「コミュニティ防災教育推進事業」事業概要資料

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