東日本太平洋側や西日本の広い範囲で、降水量がかなり少ない状況が続いています。特に東海、近畿太平洋側、四国、九州南部では、12月末からの4週間の降水量が「この時期として30年に一度程度」の顕著な少雨となっています。今後1か月程度も、まとまった降水にはならない見込みです。
少雨が続くと、林内の乾燥が進み、強風が重なった瞬間に林野火災が急拡大しやすくなります。記録的少雨だった令和7年も、冬から春にかけて大規模な林野火災が全国的に多く発生しました。つまり今は、「火の扱いをいつもより慎重にする」では足りない時期です。行動ルールごと変える必要があります。
■①いま林野火災が増えやすい理由(少雨+風+燃えやすい地表)
少雨が続くと、落ち葉・枯れ草・小枝が乾き切り、地表の燃えやすい層が厚くなります。ここに風が入ると、火は「じわじわ」ではなく「走る」ように広がります。
林野火災の怖さは、炎そのものだけではありません。火の粉が飛び、見えない場所で着火し、別の場所から再び燃え上がる“飛び火”が起きやすいことです。少雨期は、これが起きる条件が整いがちです。
■②要注意エリアの見方(地域差を前提に考える)
今回の少雨の特徴は「広範囲」かつ「地域差がはっきり」している点です。特に東海、近畿太平洋側、四国、九州南部の少雨は顕著とされています。
自分の地域が該当するかは、天気予報の“晴れ続き”だけで判断しない方が安全です。雨が少ない週が続いている、風の強い日が多い、朝の露が少ない、山の土がさらさらしている──この感覚がある時点で、林内は燃えやすい状態に寄っています。
■③原因の多くは「人の火」(だから防げる)
林野火災は自然発火よりも、人の火の不始末で起きる割合が高いのが現実です。代表例は、たき火、草焼き、火入れ、バーベキュー、タバコなどです。
ここが重要です。原因が人なら、対策も人の判断で成立します。つまり、少雨期の防災は「装備」より「やらない判断」が最短で効きます。
■④現場で痛感した“少雨期のスイッチ”(小さな火が一気に化ける)
元消防職員として火災現場に関わってきた中で、少雨期に共通していたのは「最初は小さい」という点です。出火直後は、火も煙も小さく見えます。ところが乾燥と風があると、数分〜数十分で状況が変わります。
被災地派遣(LO)で地域の状況を聞き取った際も、「最初は大したことないと思った」「近所で消せると思った」という声が重なりました。ここで無理をして近づく、自己流で消そうとする、通報をためらう──この判断の遅れが、延焼拡大の引き金になります。
■⑤今すぐ使える行動ルール(少雨期は“火を使わない”が基本)
少雨期の火の扱いは、注意ではなくルール化が必要です。迷わないために、次のように決めてください。
・風が強い日は、屋外で火を使わない
・乾燥が続く週は、たき火・草焼き・火入れを延期する
・山際、河川敷、枯れ草の多い場所では火気行為をしない
・喫煙は携帯灰皿を必須にし、歩きタバコをしない
防災は「できるだけ気をつける」ではなく、「条件が揃ったらやらない」が強いです。
■⑥もし火を使う必要があるなら(やるなら“最後の安全策”まで)
どうしても火を使う事情がある場合は、最低限ここまで徹底してください。
・消火用の水(十分量)を準備し、途中で切れないようにする
・風が出たら即中止する(続行しない)
・火の周囲の可燃物(枯れ草・落ち葉)を広めに除く
・消火は「水をかけて終わり」ではなく、冷えるまで確認する
少雨期は、表面が消えても内部がくすぶり、再燃することがあります。「完全に冷えているか」を確認する意識が必要です。
■⑦早期通報が被害を最小化する(ためらわない)
煙や焦げ臭さを感じたら、まずは119番を選択肢に入れてください。早期通報は、被害面積と人的リスクを減らします。小さな火を自己判断で処理しようとして近づく方が、危険なケースが多いです。
特に風がある日は、見えている火よりも、周辺での“飛び火”が問題になります。通報で初動が早まるだけで、延焼の形が変わることがあります。
■⑧地域でできる“予防の仕組み”(個人の努力を楽にする)
少雨期の林野火災は、個人の注意だけに頼ると限界があります。地域でできる仕組みはシンプルです。
・乾燥・強風時の火気自粛を、回覧や掲示で周知する
・山際の枯れ草が多い場所は、季節前に整理する
・ハイカーや入山者に、入口で注意喚起する(短い文で十分)
「言われたから守る」より、「今は危ない時期だ」と共有できる方が、事故は減ります。
■まとめ|少雨期は“火を使うかどうか”を先に決める
いまは、東日本太平洋側や西日本の広い範囲で少雨が続き、特に東海・近畿太平洋側・四国・九州南部で顕著です。今後1か月程度もまとまった降水になりにくい見込みです。記録的少雨だった令和7年には、冬から春にかけて大規模な林野火災が多発しました。
結論:
少雨期の最強の防災は「条件が揃ったら火を使わない」と先に決めて迷いを消すことです。
元消防職員として現場に関わる中で確信しているのは、火災は“装備の差”より“判断の差”で大きくなったり小さくなったりするということです。今日やることは一つで十分です。「風が強い日と乾燥が続く週は屋外で火を使わない」を家族のルールにして、スマホのメモに固定してください。それだけで、林野火災を起こさない確率が一段上がります。
出典:気象庁・消防庁・林野庁「林野火災に注意してください(少雨に関する注意喚起)」

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