【元消防職員が解説】防災×少雨|降水量ゼロが続く時期に「生活と火災リスク」を守る判断ルール

2025年12月26日~2026年1月20日の期間、東日本太平洋側や西日本の広い範囲で降水量がかなり少ない状況が続いています。特に東海、近畿太平洋側、四国、九州南部では、12月末からの4週間の地域平均降水量が「30年に一度程度」の顕著な少雨とされています。さらに関東甲信、九州北部でも、今後「30年に一度程度」の少雨となる可能性が示されています。

少雨は「水の問題(渇水)」だけでなく、「火災(林野火災)」「健康(乾燥)」「生活インフラ(給水・農業・工業)」まで連鎖します。この記事では、少雨の状況を整理し、家庭と地域で“判断を軽くする”具体策に落とし込みます。


■①少雨は「生活の負担」と「災害リスク」を同時に上げる

少雨が続くと、目に見える困りごと(洗車できない、庭が枯れる)から始まり、見えにくい負担(貯水率の低下、農作物への影響、乾燥による火災拡大リスク)へ広がります。

特に注意したいのは、少雨が長引くほど「乾燥+風」で火が走りやすくなることです。水が少ない時期は、火の被害が大きくなりやすい時期でもあります。


■②降水量の実態(ゼロが並ぶ=地面が回復できない)

主な地点の降水量(2025/12/26~2026/1/20)では、降水量が0mmの地点が複数並びます。

・前橋:0mm(平年比0%)
・甲府:0mm(平年比0%)
・名古屋:0mm(平年比0%)
・高知:0mm(平年比0%)
・宮崎:0mm(平年比0%)
・大阪:1.5mm(平年比4%)
・福岡:11mm(平年比19%)

数字のポイントは「少ない」より「回復が入っていない」ことです。0が続くと、地表・落ち葉・枯れ草・木の表面まで乾き切り、少しの火種で一気に広がる条件が整います。


■③どこが特に危ない?(“30年に一度”の意味を生活に翻訳する)

「30年に一度程度の顕著な少雨」という表現は、体感で言えば「いつもの冬より乾き方が一段上で、火と水のトラブルが起きやすい季節」です。

特に少雨が顕著とされているのは、
・東海
・近畿太平洋側
・四国
・九州南部

加えて、
・関東甲信
・九州北部
も、今後顕著な少雨となる可能性が示されています。

自分の地域が該当するかは、雨雲レーダーの“今日”よりも、「ここ数週間の累積」で見るのが安全です。


■④少雨で増える“困りごと”を先に見える化する

少雨の影響は、家の中から地域まで段階的に出ます。

家庭で起きやすいこと
・乾燥(のど、肌、目の不快感)
・静電気、埃の増加
・洗濯物の火気乾燥による事故リスク(ストーブ周り等)

地域で起きやすいこと
・林野火災のリスク上昇(乾燥+風)
・水源・貯水率の低下(状況による)
・農業・景観・観光への影響(長期化で顕在化)

防災は「起きてから対応」より、「起きやすい順に手当て」すると判断が軽くなります。


■⑤現場で痛感したのは「乾燥期は小さな火が化ける」という現実

元消防職員として火災現場に関わった経験上、乾燥期は出火が小さく見えても、風と地表の乾きで一気に延焼の条件が揃います。本人は「少し燃えただけ」のつもりでも、周囲の枯れ草や落ち葉が燃料になって、止めにくい火になります。

被災地派遣(LO)でも、避難所運営や生活再建の場面で繰り返し感じたのは、「地域の負担は“連鎖”で増える」ということでした。少雨→火災→避難や生活の混乱、という流れは、地域の体力を一気に削ります。だからこそ、火を出さない・早く通報する・広報を強める――この基本が効きます。


■⑥判断を軽くするコツ①|少雨期は“火のルール”を先に固定する

少雨期は「気をつける」では足りません。迷わないために、家庭のルールを先に固定します。

例(そのまま採用でOK)
・風が強い日は、屋外で火を使わない
・乾燥注意報が出た日は、たき火・草焼き・火入れをしない
・山際や河川敷では火気行為をしない
・屋外喫煙は携帯灰皿必須、歩きタバコ禁止

ルールは短いほど守れます。「条件→行動」をセットにすると判断が軽くなります。


■⑦判断を軽くするコツ②|水の備えは“量”より“使い方”を決める

少雨の備えは「大量に貯める」より、使い方を決めた方が続きます。

・飲料水:家族の人数×日数の目安を“最低ライン”で設定する
・生活用水:風呂の残り湯、ポリタンク、貯水袋など、確保手段を複線化する
・節水:トイレ・洗い物・洗濯の優先順位を決める(揉めないための準備)

災害時の混乱は「足りない」より「決まっていない」で増えます。決めるだけで負担が下がります。


■⑧今日できる最小行動|少雨期の“防災メモ”を1枚作る

少雨が続く時期は、情報が増えて不安も増えます。だからこそ、最後は1枚にまとめて判断を軽くします。

スマホのメモにこれだけ書いてください。
・(地域名)少雨期ルール:風が強い日は屋外で火を使わない
・乾燥注意報の日:たき火・草焼きはしない
・煙や焦げ臭さ:ためらわず119
・水の最低ライン:(例)家族◯人×◯日分の飲料水を確保

この「短いルール」があるだけで、少雨の期間を安全に乗り切りやすくなります。


■まとめ|少雨は“気合い”ではなく「ルール化」で守れる

少雨が続くと、生活の負担と災害リスクが同時に上がります。今回のように降水量ゼロが並ぶ期間は、地面が回復できず、乾燥と風で火災が拡大しやすくなります。さらに、関東甲信や九州北部でも今後の少雨が懸念されています。

結論:
少雨期の防災は「火を使わない条件」と「水の使い方」を先に決めて、判断を軽くすることが最優先です。

元消防職員として現場に関わる中で確信しているのは、被害を小さくする人は“頑張れる人”ではなく、“迷わない仕組みを持っている人”だということです。今日やることは一つで十分です。スマホのメモに「風が強い日は屋外で火を使わない」を固定し、家族と共有してください。それだけで、少雨期のリスクは確実に下げられます。

出典:気象庁「天候の状況(降水量等の情報)」https://www.data.jma.go.jp/stats/data/mdrr/tenkou/indexTenkou.htm

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