【元消防職員・防災士が解説】防災×段ボール|避難所生活を支える“身近な資源”の力

災害が起きたとき、避難所生活で最も負担になるのは
「寒さ」「硬い床」「騒音」「プライバシー不足」です。

この環境を少しでも改善できる資源があります。

それが ―― 段ボールです。

今回は、防災の現場視点で「段ボールの本当の価値」を整理します。


■① なぜ段ボールが防災で重要なのか

段ボールはただの梱包材ではありません。

構造は「紙+波状の中芯+空気層」。

この空気層こそが、防災で大きな力を発揮します。

・断熱性
・軽量性
・加工のしやすさ
・吸音性
・安全性(ぶつかっても怪我しにくい)

避難所では“環境を整える力”が重要になります。

段ボールは、環境改善の即席ツールなのです。


■② 段ボールベッド|床冷えと体力消耗を防ぐ

避難所で床に直接寝ると、体温は想像以上に奪われます。

特に冬場は床からの冷えが大きな問題になります。

段ボールベッドは

・床との間に空気層ができる
・断熱性が向上する
・起き上がりやすい高さを確保できる

という利点があります。

高齢者や体力の落ちた方にとって、この“高さ”は極めて重要です。


■③ 被災地で感じた「高さの差」

私は被災地派遣(LO)として避難所支援に入った経験があります。

床に布団を敷いただけの環境では、

・立ち上がるのがつらい
・腰痛が悪化する
・寒さで眠れない

という声が多く聞かれました。

段ボールベッドが導入された後、
「体が楽になった」という声が一気に増えたのを覚えています。

環境が整うと、心も落ち着きます。

これは現場で何度も実感したことです。


■④ パーティション|心の安全を守る

避難所で最も深刻なのは「心理的ストレス」です。

段ボールパーティションには、

・視線を遮る
・生活空間を区切る
・着替えや授乳の安心感を確保する

という役割があります。

プライバシーの確保は、
中長期避難において“心の防災”そのものです。


■⑤ 断熱と吸音の科学的理由

段ボールの断熱性は、内部の空気層によるものです。

空気は熱を伝えにくいため、冷気を遮断します。

また、紙繊維と空気層の組み合わせは音を吸収しやすく、

・話し声
・物音
・生活音

を和らげます。

避難所での騒音ストレス軽減にも役立ちます。


■⑥ 注意点|湿気対策は必須

段ボールは紙素材です。

・湿気
・水濡れ
・結露

に弱いという弱点があります。

備蓄時は

・床に直接置かない
・除湿剤を併用する
・定期的に状態確認する

ことが重要です。


■⑦ 家庭でできる備え

特別な製品を買わなくても、

・引っ越し用の丈夫な段ボール
・厚手の二重構造タイプ

を数枚備えておくだけでも、応用は可能です。

床敷き・簡易収納・間仕切りなど、
工夫次第で用途は広がります。


■まとめ

段ボールは、

・軽い
・加工しやすい
・断熱性が高い
・吸音性がある
・安全性が高い

という特性を持つ、優秀な防災資源です。

派手な装備ではありません。

しかし、
避難生活の質を確実に底上げする“縁の下の力持ち”です。

「身近なものを防災資源として見る」

この視点が、耐災害力を高めます。


■出典

内閣府「避難所運営ガイドライン」

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