導入|日本海側の地震は「突然」ではない
2024年元日に発生した令和6年能登半島地震。
「日本海側は太平洋側より安全なのでは?」と感じていた方も多いかもしれません。
しかし、日本海側にも“地震が起きる理由”があります。
その背景には、断層の動きだけでなく、日本海そのものの誕生メカニズムが深く関わっているのです。
今回は、日本海側で地震が起こる仕組みを、できるだけわかりやすく整理します。
■① 地震はなぜ起きる?|断層の「ずれ」が本当の原因
地震は、地下の断層がズレることで発生します。
断層の動きには主に3つあります。
- 正断層(引っ張られてズレる)
- 逆断層(押されてズレる)
- 横ずれ断層(水平方向にズレる)
能登半島地震は、逆断層型の地震と考えられています。
これは、地下で強い圧縮の力がかかっている証拠でもあります。
■② 日本海はどうやってできた?|“背弧海盆”という成り立ち
日本海は「背弧海盆」と呼ばれる特殊な海です。
太平洋プレートが沈み込み、その背後で地殻が引き伸ばされることで形成されました。
約1500万年前、日本列島は引き裂かれるように拡大し、日本海が誕生したと考えられています。
このとき、日本海側には多くの正断層が形成されました。
■③ 300万年前に何が起きた?|力の向きが逆転
ところが約300万年前、日本海にかかる力が「引っ張る力」から「押す力」に変わりました。
その結果──
- もともとあった正断層が逆転
- 逆断層として再活動
- 地震が起きやすい構造に変化
現在、日本海東縁は「歪み集中帯」と呼ばれ、地震が発生しやすいエリアとなっています。
■④ 東北側と西南側で違う理由|断層タイプの違い
研究では、日本海側の地震には地域差があることが分かっています。
- 東北側:逆断層型が多い
- 西南側:横ずれ断層型が多い
これは、日本列島の形成過程が東西で異なるためと考えられています。
ただし、日本海誕生の詳細メカニズムは、まだ完全には解明されていません。
■⑤ 現場で感じた“日本海側地震の特徴”
私は令和6年能登半島地震の際、穴水町役場にLO(連絡調整員)として派遣されました。
現場で感じたのは、
- 想定外の広範囲被害
- 断層の海陸連動
- 隆起・沈降の複雑さ
日本海側の地震は、海底断層も関係するため、地盤変動が複雑になりやすい特徴があります。
「太平洋側ほど大きな地震は来ない」という思い込みは、正直、現場では通用しませんでした。
■⑥ 私たちができる備え|“場所で油断しない”
日本海側であっても、
- 家具固定
- 避難経路確認
- 津波ハザード確認
- 冬季停電対策
これらは必須です。
特に日本海側は冬の地震リスクがあります。
停電+積雪は命に直結します。
■⑦ まだ解明されていないからこそ
日本海には、
- 観音開きモデル
- 横ずれモデル
- プレート境界仮説
など複数の仮説が存在します。
つまり、完全には解明されていない海域なのです。
未知の部分があるからこそ、「来ない前提」ではなく「来ても動ける前提」が大切になります。
■まとめ
日本海側の地震は、
- 日本海誕生の歴史
- 断層の再活動
- 歪み集中帯
- プレート運動の影響
これらが複雑に絡み合って起きています。
「太平洋側より安全」というイメージだけで判断しないこと。
地震は場所を選びません。
備えは、地域差ではなく“行動差”で決まります。
■出典
JAMSTEC(海洋研究開発機構)「日本海拡大と地震発生メカニズムに関する研究」

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