両親を守る防災は、特別な道具より「普段の生活の延長」で整えるほど成功します。
災害時に高齢者が困るのは、食料より先に“体調の崩れ”と“判断の遅れ”です。
だからこそ、今のうちに「何を優先するか」を家族で共有しておくことが一番の備えになります。
■① 高齢者の災害リスクは“体力”より“環境変化”
高齢者は、災害そのものよりも「環境の急変」で一気に弱ります。
・寒暖差で血圧が乱れる
・脱水で体調が崩れる
・トイレ我慢で膀胱炎・便秘
・睡眠不足でせん妄(混乱)
・慣れない避難所で食事量が落ちる
「避難できたから安心」ではなく、避難後の生活の崩れを止めるのがポイントです。
■② まず決めるのは“避難の基準”|迷いを減らすと動ける
両親世代で一番多いのは「様子を見る」の長期化です。
そこで、家族で“避難スイッチ”を先に決めます。
・避難情報が出たら(警戒レベル3以上など)
・夜間に強い雨風が続くとき
・余震が続いて家が不安なとき
・停電+寒さ(暑さ)で体調悪化が見えるとき
・一人でトイレ移動が難しくなったとき
迷う時間が短いほど、転倒・低体温・脱水を防げます。
■③ 薬・診療情報が命を守る|“紙で残す”が強い
災害時、電子が止まると医療情報が一気に途切れます。
最低限、紙で持てる形にします。
・お薬手帳(コピーでも可)
・処方内容(薬の名前・量・飲む時間)
・かかりつけ病院と連絡先
・持病とアレルギー
・保険証・身分証のコピー
現場では「薬が分からない」「何を飲んでいるか説明できない」が本当に多いです。
紙1枚が、治療のスピードを変えます。
■④ 水分・栄養は“食べやすさ”優先|高齢者向け備蓄のコツ
高齢者の備蓄は「量」より「食べられるか」です。
・やわらかいレトルト(おかゆ、煮物)
・カップスープ、味噌汁
・ゼリー飲料
・栄養補助(カロリーメイト系、プロテイン系)
・常温で飲める水+経口補水液
食欲が落ちたときほど、温かい汁物が効きます。
“噛める・飲み込める・温めやすい”が基準です。
■⑤ トイレ問題が一番つらい|自宅避難の成否を分ける
高齢者にとって、トイレは尊厳そのものです。
ここが崩れると、避難所でも自宅でも一気に生活が破綻します。
・簡易トイレ(回数分)
・消臭袋(臭いとストレスが増える)
・使い捨て手袋
・ウェットティッシュ
・ポータブルトイレがあると最強
被災地では「トイレが不安で水を飲まない」→脱水→体調悪化の流れが多発します。
トイレの安心は、命を守ります。
■⑥ 冷えと暑さが命取り|電気が止まっても体温を守る
高齢者は体温調節が苦手です。停電で一気に危険が増します。
寒さ対策
・毛布+アルミシート
・湯たんぽ(カセットコンロで湯を作る想定)
・貼るカイロ
・靴下、ネックウォーマー
暑さ対策
・冷感タオル
・うちわ、携帯扇風機
・日陰確保(遮光、すだれ)
・こまめな水分
「室温の我慢」が一番危ないので、対策の優先度は高いです。
■⑦ “連絡がつかない日”の約束|集合場所と代理連絡を作る
災害時は、スマホが当てにならないことがあります。
両親の安心のために、連絡手段を二重化します。
・集合場所(近所の○○公園、親戚宅など)
・災害用伝言ダイヤル171の使い方
・SMS(短文)で送るルール
・県外の親戚を“中継役”にする(ここが強い)
「つながらない」が続くほど不安が増え、判断が遅れます。
約束があるだけで落ち着きます。
■⑧ 両親の防災は“説得”より“段取り”|動ける形にしておく
両親世代は、防災の必要性を分かっていても動けないことがあります。
大事なのは、説教より“段取り”です。
・玄関に靴(踏み抜きにくい底)
・杖やメガネを固定位置に
・持ち出し袋は軽く(重いと持てない)
・玄関~寝室の動線を片付ける
・家具転倒対策(寝室優先)
できる形にしておけば、災害時に迷わず動けます。
■まとめ|両親を守る防災は「体調を崩させない仕組み」が勝ち
両親を守る防災で大切なのは、災害の瞬間より“避難後”です。
・避難の基準を決めて迷いを減らす
・薬と医療情報を紙で残す
・高齢者が食べやすい備蓄にする
・トイレ対策で水分我慢を防ぐ
・寒さ暑さを電気なしでしのぐ
・連絡がつかない日の約束を作る
・説得ではなく段取りで動ける形にする
結論:
両親を守る防災は「避難後に弱らせない」ことが最優先。トイレ・薬・体温の3点を先に整えるだけで、生存率と回復力が上がります。
防災士として現場で見たのは、
「避難はできたのに、その後の生活で体調を崩してしまう」ケースでした。
とりあえず今日は、薬情報を紙1枚にまとめるところから1つでOKです。
出典:内閣府 防災情報のページ(高齢者等の避難・備えの基本情報)
https://www.bousai.go.jp/

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