【防災士が解説】火災保険が出ないケース|「払われると思い込む」前に知るべき落とし穴

火災保険は万能ではありません。
被害が出たあとに「え、これ出ないの?」となるのは、
保険の知識不足というより“思い込み”が原因のことが多いです。

この記事では、火災保険が出ない(または出にくい)代表例と、
家庭でできる確認ポイントを整理します。


■① 結論|火災保険は「原因」と「契約内容」で決まる

火災保険が出るかどうかは、
「何が壊れたか」よりも なぜ壊れたか(原因)契約で何を付けたか で決まります。

つまり、
同じ“水浸し”でも
・給排水管の事故 → 対象になりやすい
・地震が原因の破損 → 対象外になりやすい
のように結論が変わります。


■② 地震が原因の損害|火災保険では出ないことが多い

代表的な落とし穴です。

・地震の揺れで壁にヒビ、家が傾く
・地震で家具が倒れて床が割れる
・地震が原因で火災が起きる
・津波で流される

これらは、火災保険単体では補償対象外になりやすく、
地震保険が必要な領域です。

被災地派遣で実際に多かったのが、
「地震で一部損したけど、保険で直ると思っていた」という相談です。
ここで資金が止まると、生活再建のスタートが遅れます。


■③ 経年劣化・老朽化|“自然に壊れた”は原則対象外

火災保険は「事故による損害」を補償するのが基本です。

出にくい代表例:
・屋根材が古くなって剥がれた
・コーキング劣化で雨漏りした
・配管が錆びて水漏れした(原因が老朽化扱い)
・シロアリ等の害虫被害

ポイントは、事故なのか劣化なのかの判断。
写真や見積もりの取り方次第で結果が変わることもあります。


■④ 故意・重大な過失|“うっかり”が重い判定になることも

当然ですが、故意は対象外です。
そして厄介なのが「重大な過失」です。

例:
・火気の扱いが明らかに危険(放置、禁止行為など)
・危険と知りながら繰り返した行為

実際の認定はケースで変わりますが、
「普通ならやらないレベルの危険」があると厳しくなり得ます。


■⑤ 補償を付けていない|水災・風災・破損汚損は“任意”

火災保険はプランで差が大きいです。
入っていると思い込むと危険です。

よく抜けやすい補償:
・水災(洪水・床上浸水など)
・風災・雹災・雪災(条件付き)
・破損・汚損(うっかり壊した)
・家財補償(家の外側だけで中身は対象外、など)

「建物は出るけど家財は出ない」
「水災が付いていない」
このパターンは本当に多いです。


■⑥ 免責金額・支払い条件|“少額は出ない”仕組みがある

火災保険は、
一定額までは自己負担(免責)という契約もあります。

また、風災や雪災などは
「一定以上の損害額から」など条件が付いている場合があります。

・修理費が免責以下で自己負担になる
・条件を満たさず支払対象外になる

ここは保険証券の確認が最優先です。


■⑦ 申請の遅れ・証拠不足|“正しく申請できない”で損をする

火災保険は「申請して初めて動く」仕組みです。

失敗しやすい例:
・片付けてから気づき、被害写真がない
・原因が分からないまま修理してしまった
・見積もりが曖昧で、損害の裏付けが弱い

現場目線で言うと、
災害後は気が張っていて、あとでドッと疲れが来ます。
そのタイミングで申請が止まりやすいので、
「写真→メモ→見積」だけは先に押さえるのが安全です。


■⑧ 今日できる最小行動|“保険の勘違い”を潰しておく

・保険証券で「建物/家財」「水災」「風災」「破損汚損」「免責」を確認
・地震が原因の損害に備えるなら、地震保険の有無を確認
・スマホに「被害記録テンプレ(写真→場所→日時→原因仮説)」を作っておく

備えは、買い足すより
「誤解をなくす」だけで強くなります。


■まとめ|火災保険の落とし穴は「思い込み」で起きる

火災保険が出ない原因は、
被害の大小よりも
・原因が対象外(地震・劣化など)
・補償を付けていない
・免責や条件に引っかかる
・申請が弱い
の4つがほとんどです。

結論:
火災保険は“入っているつもり”が一番危険。証券で補償の穴を先に塞ぐのが防災です。

防災士として被災地で痛感したのは、
お金の不安が出ると、判断が遅れ、生活再建の速度が落ちることです。
火災保険は「安心を買う道具」なので、
まずは勘違いを消して、使える状態にしておくのが一番強い備えになります。

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