はじめに
大地震や豪雨の直後、保護者が一斉に学校へ迎えに向かうと、道路が一気に詰まります。
その結果、
- 緊急車両が通れない
- 二次災害(倒木・余震・浸水)に巻き込まれる
- 子どもの引き渡しが逆に遅れる
という“迎え渋滞の失敗”が起きます。
親の気持ちは当然ですが、災害時は「善意の一斉行動」が危険を増幅します。この記事で、迷わない判断基準と家族ルールを固定します。
■① 結論|原則は「学校は学校で守る」。迎えは“条件が揃ってから”でいい
災害直後に最優先なのは、子どもを早く回収することではなく、
- 子どもの安全が確保されているか
- 道路が安全か
- 引き渡しの手順が整っているか
です。
条件が揃わない迎えは、親も子も危険にします。
■② 現場で多かった失敗|「今すぐ行く」が全員を動かしてしまう
よくある失敗パターンはこうです。
- SNSや噂で「学校が心配」が増幅
- 連絡がつかず焦る
- 保護者が同時に車で出る
- 学校周辺が駐停車で塞がる
- 迎えが遅れる/緊急車両が入れない
- 途中で余震・浸水・倒木・信号停止に遭遇
“早く迎えたい”が、結果的に引き渡し全体を遅らせます。
■③ 迎え渋滞が危険な理由|道路は「救命ライン」になる
災害直後の道路は、ただの移動手段ではありません。
- 救急・消防・警察の動線
- 給水・物資の動線
- 土砂・浸水・崩落の危険地帯
ここに一般車が集中すると、救命活動の速度が落ちます。
迎え渋滞は“家庭の問題”ではなく“地域全体のリスク”になります。
■④ 迎えに行く/行かないの判断基準(迷わないルール)
迎えに「行かない」ほうが良い条件
- 学校から「待機」連絡が出ている
- 引き渡し方法が未確定(時間・場所・動線)
- 道路が渋滞、信号停止、冠水、倒木が出ている
- 余震・警報(大雨・洪水・土砂)が続いている
- 家に乳幼児・高齢者・要配慮者がいて家を空けられない
この条件なら、迎えは“遅らせる”のが安全です。
迎えに「行く」条件(最低ライン)
- 学校から引き渡し開始の連絡が出た
- ルートの安全が確認できる(冠水・土砂・倒木なし)
- 徒歩または最小の車両で、指定動線に従える
- 途中で引き返せる体力・時間がある
「行ける」ではなく「行っても危険を増やさない」が条件です。
■⑤ 渋滞を避ける現実解|徒歩・分散・時間差
迎え渋滞を起こさないための実務はこれです。
- 近距離は徒歩(車を使わない)
- 車なら“時間差”を前提にする(すぐ動かない)
- 学校が指定する動線・駐車位置を守る(勝手に停めない)
- 夫婦で同時に動かない(片方は家・連絡担当)
「車で一斉に行かない」だけで、渋滞の大半は減ります。
■⑥ 家族連絡の落とし穴|“つながらない前提”で決める
災害直後は通信が混みます。
つながらないのに動くと、判断が感情に引っ張られます。
- 連絡が取れない=危険、ではない
- 学校は原則、子どもを保護している
- 動く前に“情報が確定するまで待つ”が有効
焦りを行動に変える前に、ルールに戻すのが安全です。
■⑦ 被災地経験から伝えたいこと|混乱の中心に車が集まると、救える命が遅れる
被災地派遣の現場では、道路が詰まった瞬間に「支援が届く速度」が落ちます。
救急車が入れない、給水車が曲がれない、物資が迂回する。
その遅れが、夜の冷えや脱水、持病悪化につながる場面を何度も見ました。
迎えに行くこと自体が悪いのではなく、
“全員が同時に同じ場所へ車で向かう”ことが危険です。
■⑧ 学校と家庭で決める「引き渡し3点セット」
家庭で先に決めておくと、災害時の迷いが激減します。
1) 迎えの判断:誰が、どの条件で動くか
2) 迎えの手段:徒歩優先/車は最小、時間差
3) 引き渡しの優先順位:兄弟が別校の場合の順番
この3点が決まっていれば、焦りが渋滞に変わりにくいです。
■⑨ やらなくていい防災(迎え渋滞編)
- 連絡が取れないから即出発
- 車で学校前に乗り付ける
- 近隣住民の車列に流されて同調する
- 指定動線を無視して近道・抜け道へ突っ込む
- 子どもの不安より、親の不安を優先して動く
■⑩ 今日の最小行動(5分でできる)
- 学校の「引き渡し方法」をプリント or 写真で保存する
- 家族で「迎えに行く条件」を1行で決める(例:学校が開始連絡を出したら)
- 近距離なら“徒歩で迎える”を基本にする
まとめ
迎え渋滞の失敗は、「早く迎えたい」が一斉行動を生み、二次災害と遅延を増やすことです。
- 原則は学校待機
- 迎えは条件が揃ってから
- 車は最小・時間差・指定動線
- 家族ルールが焦りを止める
子どもを守るために、親の行動を“落ち着いたルール”に変えておきましょう。
出典
文部科学省「学校の危機管理マニュアル作成の手引(解説編)」https://www.mext.go.jp/content/20210604-mxt_kyousei02-000015766_04.pdf

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