はじめに
大きな地震や豪雨のあと、避難生活や片付けが一段落して「ようやく日常に戻れそう」と感じた頃に起きやすいのが、家屋点検を怠ったことによる二次災害です。
復旧期は気が緩みやすく、「もう大丈夫だろう」「今は忙しい」が積み重なり、落下・転倒・崩落・感電・ガス漏れといった事故につながります。
この記事では、現場で多かった失敗パターンを踏まえて、復旧後に“最初にやるべき点検”を、迷わない形に整理します。
■① 結論|復旧期の事故は「点検の先送り」で起きる。3つだけ先に確認する
復旧後の家屋で最初に確認すべきは、次の3つです。
1) 倒れる・落ちる(天井、照明、外壁、ブロック塀、棚、食器棚)
2) 漏れる(ガス、水、雨水)
3) 破れる(配線、コンセント、延長コード、ブレーカー周り)
この3つは「当日中に目視で確認」「少しでも不安なら使用停止」が基本です。
点検は“完璧”より“危険を先に潰す”が正解です。
■② 現場で多かった失敗|「住めるから大丈夫」で片付けを急ぎ、事故が起きる
復旧期に実際に多いのは、こんな流れです。
- 家が残っている → 住めると判断
- 片付け・復旧作業を優先
- 目立たない損傷(天井の緩み、壁の浮き、外壁のクラック、配線の傷)を見逃す
- 数日〜数週間後に、落下・崩落・火災・感電・転倒の事故が起きる
“崩れたら終わり”の場所ほど、最初に確認すべきなのに後回しになりがちです。
■③ なぜ復旧後に事故が増えるのか|疲労・焦り・慣れが判断を鈍らせる
復旧期は、体も心も消耗しています。
- 「早く片付けたい」焦り
- 「これ以上不安を増やしたくない」心理
- 「何も起きてないから大丈夫」慣れ
この状態で脚立に乗る、重い家具を動かす、通電を再開する、仮設配線を延長する。
事故は“災害そのもの”ではなく、“復旧作業の途中”で起きやすいのが現実です。
■④ 目視でできる「危険チェック」|5分で見る場所を固定する
屋内(優先)
- 天井:たわみ、割れ、照明のぐらつき
- 壁:大きなひび、浮き、剥がれ
- 家具:転倒防止が外れていないか、金具が曲がっていないか
- ガラス:ひび、サッシの歪み(開閉が渋い)
- コンセント:焦げ跡、割れ、コードの潰れ
屋外(優先)
- 外壁:ひび、剥離、落下しそうな部材
- ブロック塀:傾き、ひび、ぐらつき
- 屋根:ズレ、瓦の落下リスク
- 地盤:沈下、段差、亀裂、排水不良
1つでも「いつもと違う」があれば、その場所は“近づかない・使わない”が原則です。
■⑤ 危険サインが出たらどうする?|「使わない」「近づかない」「専門に繋ぐ」
復旧期の判断で一番大事なのは、危険を感じたときの行動を固定することです。
- 天井・外壁が怪しい → 直下に物を置かない/人が通らない動線にする
- ブロック塀が怪しい → 近づかない/子どもを近寄らせない
- 電気が怪しい → ブレーカーを落とす/濡れている場所は絶対に触らない
- ガスが怪しい → 元栓を閉める/窓を開ける/火気厳禁/連絡
「大丈夫かも」で使い続けるのが一番危険です。
“停止して困ること”より、“事故が起きること”の方が取り返しがつきません。
■⑥ 被災地経験からの実感|復旧が早い家ほど「点検→片付け」の順番を守っていた
被災地派遣(LO)で住民の生活再建を見ていると、再建が比較的スムーズな家庭ほど順番が同じでした。
- まず危険箇所の確認(住む・作業する前の最低限)
- 次に写真記録(後の支援・手続きで効く)
- それから片付け・修復
逆に、片付けを急いだ家ほど、落下物・転倒・通電トラブルが増え、結果として作業が止まりやすい。
復旧は気合いではなく、順番で決まります。
■⑦ 「やらなくていい防災」復旧期編|頑張りすぎが事故を呼ぶ
- 不安があるのに脚立作業を強行する
- 濡れた床で延長コードを使う
- ひび割れ直下で寝る・通る・作業する
- ブロック塀の近くで子どもを遊ばせる
- 通電再開を急ぎ、焦げ臭さを見逃す
復旧期は「頑張った人」が危ないのではなく、「頑張り方を間違えた人」が危なくなります。
■⑧ 今日の最小行動|復旧後に事故を起こさないための“3つだけ”
1) 家の中で「落ちそうな場所」の直下を空ける(寝床・通路を移動)
2) ブレーカー周りとコンセントを目視し、違和感があれば使用停止
3) 家の被害状況を写真に残す(全景→部位→アップの順)
この3つだけでも、復旧期の事故確率は大きく下がります。
まとめ
復旧後の家屋事故は、災害の延長で起きます。
だからこそ、復旧期の基本は「片付けの前に点検」「不安なら使用停止」です。
- まずは「倒れる・落ちる」「漏れる」「破れる」を確認
- 危険サインは使わない・近づかない・専門に繋ぐ
- 復旧は気合いではなく、順番で決まる
復旧期こそ、家族を守る“最後の防災”です。
出典
政府広報オンライン「住まいが被害を受けたとき 最初にすること」
https://www.gov-online.go.jp/article/202003/entry-9034.html

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