【防災士が解説】新しい防災気象情報(2026年5月下旬〜)|“わかりやすくなる”前に、住民が決めておく3つのルール

防災×防災気象情報アップデート

大雨・土砂災害の季節は、「情報が出たのに動けなかった」で結果が変わります。
宮崎県では市町村の防災担当者が集まり、2026年5月下旬から運用開始予定の“新しい防災気象情報”について共有する会議が開かれました。
ポイントは、情報が整理されて“見やすくなる”こと。けれど本当に大事なのは、見やすくなった情報を、家庭と地域の行動に変換できるかです。

この記事では、新情報の要点と、梅雨入り前に住民へ周知しておくべき「迷わないルール」をまとめます。


Table of Contents

  • ■① 何が変わる?|新しい防災気象情報は“災害の種類ごと”に整理される
  • ■② よくある誤解|「情報が整理された=安全」ではない
  • ■③ 迷ったらこれ|住民が決める“3つの固定ルール”
  • ■④ 通報・相談の基準|自治体・消防・家族で詰まるポイントを先に潰す
  • ■⑤ 地域周知のコツ|梅雨までに“言い回し”を統一する
  • ■⑥ 現場で起きるズレ|同じ警戒レベルでも、住民の受け取りはバラバラ
  • ■⑦ 今日できる最小行動|家庭の「マイタイムライン」を10分で更新する
  • ■⑧ やらなくていい行動|情報追いかけ過ぎで判断が遅れる
  • ■結語|「わかりやすさ」を“行動の速さ”に変える

■① 何が変わる?|新しい防災気象情報は“災害の種類ごと”に整理される

今回共有された新情報の狙いはシンプルです。
これまで「複雑でわかりづらい」と言われがちだった防災気象情報を、住民が判断しやすい形に整えること。

新しい体系では、災害の種類ごとに大きく整理され、
河川氾濫/大雨/土砂災害/高潮といった区分で、警戒レベルと情報名の関係がわかりやすくなる方向です。
つまり、情報が「見つけやすい」「伝えやすい」設計に寄っていきます。

ただし、ここで安心してはいけません。
整理されるのは“情報の見た目”であって、雨の降り方が優しくなるわけではありません。


■② よくある誤解|「情報が整理された=安全」ではない

よくある誤解はこれです。

  • 情報がわかりやすくなったから、判断も簡単になる
  • 警戒レベルが出たら、その時に考えればいい
  • うちは毎年大丈夫だから今年も大丈夫

現実は逆で、わかりやすくなったぶん、動けない言い訳が消えるだけです。
「情報は出ていたのに動かなかった」が、よりはっきり残ります。


■③ 迷ったらこれ|住民が決める“3つの固定ルール”

新情報を活かすコツは、家庭と地域で「判断を固定する」ことです。
おすすめは、この3つだけ先に決めること。

ルール1:避難する条件を“天気”ではなく“場所”で決める

「雨が強いから」ではなく、
自宅が土砂・浸水リスクのある場所かで決めます。
ハザードマップで、家が色のつく区域なら、判断は早くしていい。

ルール2:夜は“早めに動く”、昼は“状況を見て動く”

夜の避難は危険が増えます。
暗さ・視界不良・冠水の見落としで、同じ雨でも事故が起きやすい。
だから夜は「迷う前に前倒し」が安全側です。

ルール3:家族の最優先は「連絡」ではなく「合流ルール」

豪雨時は通信が不安定になることもあります。
連絡が取れない前提で、

  • 集合場所
  • 動かない時間(例:○時間はその場で待つ)
    を決めておく方が、結果的に家族を守ります。

■④ 通報・相談の基準|自治体・消防・家族で詰まるポイントを先に潰す

住民が迷いやすいのは「これって通報案件?」です。
豪雨期は特に、次のケースで迷いが増えます。

  • 側溝があふれている
  • 近所の小川が増水している
  • 斜面から水が湧いている
  • 土のにおいが強い/小石が落ちてくる

ここで大切なのは、“見に行かない”で伝えること。
危険箇所を確認しに行く行動が、二次災害を生みます。

通報するなら、伝える情報は3点だけに絞ります。

  • どこで(住所・目印)
  • 何が起きているか(あふれ、流木、崩れの兆候)
  • いま避難が必要そうか(通行不能、家に水が入った等)

■⑤ 地域周知のコツ|梅雨までに“言い回し”を統一する

会議でも「変わった点を梅雨までに周知が必要」という声が出ていました。
ここが最大の勝負どころです。

住民向け周知は、資料を厚くするより、言い回しを固定する方が伝わります。
おすすめは自治会・学校・職場で、同じ短文を使うこと。

例)

  • 「土砂の色エリアの人は、夜になる前に移動」
  • 「川沿いは“見に行かない”。判断は“離れる”」
  • 「迷ったら、まず家族の合流ルールを優先」

“同じ言葉が増える”ほど、地域は強くなります。


■⑥ 現場で起きるズレ|同じ警戒レベルでも、住民の受け取りはバラバラ

被災地派遣で感じるのは、情報そのものよりも、受け取り方の差が被害を分けることです。
同じ警戒レベルでも、

  • 「まだ大丈夫」と思う人
  • 「すぐ逃げる」と思う人
  • 「誰かが言ったら動く」人

が混在します。

だからこそ新情報の“整理”はチャンスです。
住民側が「自分の行動に翻訳する」仕組みを持てば、ズレは減らせます。


■⑦ 今日できる最小行動|家庭の「マイタイムライン」を10分で更新する

今日、10分でできる更新だけやってください。

1) 自宅をハザードマップで確認(浸水/土砂)
2) 夜の避難は前倒しにする(何時を境にするか決める)
3) 家族の合流ルールを1つ決める(場所+待つ時間)

“全部やる”は続きません。
まずは「決める」だけで、防災は一段上がります。


■⑧ やらなくていい行動|情報追いかけ過ぎで判断が遅れる

やらなくていいことは明確です。

  • 複数アプリを同時に見比べ続ける
  • SNSの現地情報を追いかけ続ける
  • 目の前の危険箇所を確認しに行く
  • 迷ったまま雨が強くなるのを待つ

新情報が“わかりやすくなる”ほど、
「見続ける」より「決めて動く」が正解になります。


■結語|「わかりやすさ」を“行動の速さ”に変える

新しい防災気象情報は、住民にとって追い風です。
でも、勝負は情報ではなく、行動の設計。

梅雨までに、家庭と地域で

  • 判断の固定ルール
  • 周知の短文
  • 合流の約束
    を決めておくと、災害時の迷いが減ります。

「わかりやすくなった」を、
「動けるようになった」に変えていきましょう。


出典

気象庁「新たな防災気象情報の運用について ~令和8年の大雨時期から~」(2025年12月16日)
https://www.jma.go.jp/jma/press/2512/16a/20251216_taikeiseiri.html

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