【防災士が解説】トイレカー導入の本当の意味|断水下でも機能する“移動型衛生拠点”という選択

防災×トイレカー

避難所で最も深刻になる問題の一つが「トイレ」です。
鹿児島県が県内初となるトイレカーを導入しました。断水しても給水所まで自走し、水を確保できる移動型設備です。

これは単なる“便利な車両”ではありません。
避難者の尊厳と健康を守る、衛生インフラの前進です。


Table of Contents

  • ■① なぜトイレが命を左右するのか
  • ■② 鹿児島県のトイレカー導入ポイント
  • ■③ 本当に評価すべき機能は「自走」と「循環」
  • ■④ 避難所で起きる“見えない危機”
  • ■⑤ 被災地で感じたトイレ問題の現実
  • ■⑥ トイレカーがあっても解決しない課題
  • ■⑦ 今日できる家庭の備え
  • ■⑧ やらなくていい誤解
  • ■結語|衛生は後回しにしない

■① なぜトイレが命を左右するのか

災害時、断水が起きると最初に困るのはトイレです。
トイレが使えないとどうなるか。

  • 水分摂取を控える
  • 排泄を我慢する
  • 衛生状態が悪化する
  • 感染症が広がる

トイレは単なる設備ではなく、健康維持と尊厳の基盤です。


■② 鹿児島県のトイレカー導入ポイント

鹿児島県が導入したのは、洋式トイレ2基を備えた車両2台。
さらに、手洗い機やシャワー設備も併設されています。

特筆すべきは、断水しても給水所まで自走できる点
半島や離島を抱え、毎年のように台風や水害に見舞われる地域特性を踏まえた判断です。

導入費は約3400万円。
数字だけを見ると高額に感じるかもしれませんが、災害時の感染拡大や健康悪化を防ぐ効果を考えれば、予防投資といえます。


■③ 本当に評価すべき機能は「自走」と「循環」

重要なのは「トイレがあること」ではなく、機能し続けることです。

  • 自走して水を確保できる
  • 使用水を循環再利用できる
  • 手洗い・シャワーまで対応できる

これは単なる簡易トイレとは次元が違います。
災害対応においては、継続運用できる仕組みが価値になります。


■④ 避難所で起きる“見えない危機”

避難所で本当に怖いのは、派手な事故ではありません。
静かに広がる体調不良です。

  • 脱水
  • 便秘
  • 膀胱炎
  • 胃腸炎

トイレ環境が悪化すると、体調悪化は連鎖します。
特に高齢者や女性、子どもに影響が出やすいのが現実です。


■⑤ 被災地で感じたトイレ問題の現実

被災地派遣の現場では、
「水がないから飲まない」という高齢者を何人も見ました。

トイレが汚れている。
臭いが強い。
並ぶのがつらい。

だから水分を控える。
その結果、体調を崩す。

派手なニュースにはなりませんが、
静かに体力を奪うのがトイレ問題です。

トイレカーの導入は、この“見えない消耗”を減らす一歩です。


■⑥ トイレカーがあっても解決しない課題

ここで誤解してはいけません。

トイレカーがあれば完璧、ではありません。

  • 台数には限界がある
  • 長期避難では維持管理が課題
  • 運用人員の確保が必要

だからこそ、自治体だけに任せるのではなく、
家庭備蓄との両輪が重要です。


■⑦ 今日できる家庭の備え

家庭でできることは明確です。

  • 携帯トイレを最低3日分(できれば7日分)
  • 凝固剤タイプを人数分確保
  • 消臭袋を併用
  • 簡易目隠しを用意

トイレカーは“公共の最後の砦”。
家庭備蓄は“最初の防衛線”です。


■⑧ やらなくていい誤解

やらなくていいこと。

  • 「自治体があるから大丈夫」と備えない
  • 安いだけの品質不明製品を大量購入
  • 使用方法を確認せず保管する

トイレは“買うこと”より“使えること”が大切です。


■結語|衛生は後回しにしない

災害対応は、命を守ることが最優先。
しかし、命を守るためには生活を守ることが必要です。

トイレカーは、その象徴です。
衛生を後回しにしないという姿勢の表れ。

行政の進歩を評価しつつ、
家庭でも「排泄を守る備え」を整えておきましょう。

それが、避難生活を壊さない第一歩です。


出典

読売新聞オンライン「鹿児島県が初のトイレカー導入」(2026年2月13日)

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