- はじめに
- ■① 結論|避難は「情報」より先に“自分ルール”で動ける人が強い
- ■② そもそも避難とは何か|「逃げる」より「危険から離れる」
- ■③ 逃げ遅れる人の共通点|「様子見」ではなく“正常性バイアス”
- ■④ 判断基準の作り方|「場所×時間×人」で決める
- ■⑤ 「避難指示まで待つ」が危ない理由|情報は遅れて届くことがある
- ■⑥ 「避難所に行くか迷う」人へ|行く理由は“危険回避”であって正解確認ではない
- ■⑦ 被災地派遣(LO)で実感した避難の現実|“動けるうちに動く”がすべて
- ■⑧ やらなくていい防災|避難前に“やりがちで危ない”行動
- ■⑨ 今日の最小行動|避難を“標準セット”から“自分セット”に仕上げる
- まとめ
はじめに
避難は、知識よりも「決断」です。
災害対応の現場で何度も見たのは、備えがある人でも――
- 迷って動けない
- 周囲の目が気になって言い出せない
- 「もう少し様子を見よう」で詰む
という現実でした。
私は元消防職員として現場に立ち、被災地派遣(LO)でも状況把握や被害調査に関わってきました。
そこで確信したのは、避難の成否を分けるのは“運”ではなく、事前に決めた判断基準だということです。
この記事では、地震・台風・豪雨など災害共通で使える「避難の基本ルール」を、迷わない形に落とし込みます。
■① 結論|避難は「情報」より先に“自分ルール”で動ける人が強い
避難の結論はシンプルです。
- 避難は「危なくなってから」では遅い
- 避難は「危なくなる前」に選択肢を確保する行動
- 迷う人ほど、家に残る理由を探してしまう
だから必要なのは、当日の判断材料を増やすことではなく、迷いを減らすルールです。
■② そもそも避難とは何か|「逃げる」より「危険から離れる」
避難=避難所に行く、ではありません。
避難の目的は一つだけです。
- 命が危ない場所から離れる
結果として選択肢は複数あります。
- 自宅の上階へ移動(垂直避難)
- 安全な親族宅へ移動
- 避難所へ移動
- 近くの高台へ移動(津波など)
避難先を一つに固定すると迷います。
「安全に離れる方法は複数ある」と理解すると、判断が軽くなります。
■③ 逃げ遅れる人の共通点|「様子見」ではなく“正常性バイアス”
逃げ遅れの典型はこれです。
- まだ大丈夫
- うちは大丈夫
- みんな動いてない
- 行ったら迷惑かも
- 行って何もなかったら恥ずかしい
これは根性ではなく、人間の仕組みです。
災害時、人は「今まで通り」を維持しようとしてしまう。
だから避難は、感情で決めると遅れます。
ルールで決めておく必要があります。
■④ 判断基準の作り方|「場所×時間×人」で決める
避難判断はこの3点で十分です。
場所
- 浸水しやすい低地か
- 川・用水路が近いか
- 崖や山が近いか(土砂)
- 海が近いか(津波)
- 風が直撃しやすいか(飛来物)
時間
- 暗くなる前に動けるか
- 風雨が強くなる前に動けるか
- 渋滞が始まる前か
人
- 高齢者、乳幼児、妊婦、持病など要配慮者がいるか
- 介助が必要か
- ペットがいるか
この3点で「早めに動くべきか」が決まります。
■⑤ 「避難指示まで待つ」が危ない理由|情報は遅れて届くことがある
避難情報は重要ですが、万能ではありません。
- 急変する豪雨は、判断が追いつかないことがある
- 夜間は避難が危険になる
- 停電・通信障害で情報が途切れる
- 地域差・局地差で状況が異なる
避難情報は“最後の後押し”です。
本命は、自分の環境に合わせたルールです。
■⑥ 「避難所に行くか迷う」人へ|行く理由は“危険回避”であって正解確認ではない
避難所へ行くことを迷う最大の原因は、
- 行って何もなかったらどうしよう
という感情です。
でも避難は、正解を当てる試験ではありません。
危険が来る可能性が上がった時点で、選択肢を確保する行動です。
「何もなくて良かった」は成功です。
避難しなくて済んだのではなく、早めに動けた結果です。
■⑦ 被災地派遣(LO)で実感した避難の現実|“動けるうちに動く”がすべて
被災地派遣(LO)で何度も見たのは、
- 夜になってから動こうとして動けない
- 道路が冠水して車が止まる
- 渋滞で避難所に着けない
- 家族の準備が整わずバラバラになる
という「選択肢が消えていく」現実です。
避難の本質は、危険から逃げることではなく、
危険が増える前に“動ける状態”で動くことです。
■⑧ やらなくていい防災|避難前に“やりがちで危ない”行動
避難が遅れる原因になる行動があります。
- 片付けを始める
- 心配で情報を追い続ける
- 田んぼ・川・海を見に行く
- 屋外で固定作業を続ける(強風・豪雨)
- 迎えに行く(渋滞と二次災害)
避難は「完成させてから行く」ものではありません。
最低限の行動を先にして、残りは後でいい。
■⑨ 今日の最小行動|避難を“標準セット”から“自分セット”に仕上げる
避難判断は、標準論だけでは動けません。
自分の環境に合わせて“自分セット”にします。
今日やることは3つだけです。
1) ハザードマップで「自宅の災害タイプ」を決める(浸水/土砂/津波)
2) 避難先を2つ決める(避難所+親族宅など)
3) 動くタイミングを固定する(暗くなる前/雨量が増える前など)
これで当日の迷いが激減します。
まとめ
避難の基本は、知識ではなく「迷わない仕組み」です。
- 避難は“危険が来る前”に選択肢を確保する行動
- 逃げ遅れは正常性バイアスで起きる
- 判断は「場所×時間×人」で決める
- 避難情報は大事だが遅れることもある
- 「何もなくて良かった」は避難成功
- 動けるうちに動く、それがすべて
- 今日やるのは“自分セット化”の3点だけ
避難は、怖さに勝つ行動ではありません。
迷いを減らして、家族を守る行動です。

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