【元消防職員が解説】2025年消防法改正と野焼きの関係|蓄電池火災対策から考える“火災予防の本質”

2025年の消防法改正は、主にリチウムイオン蓄電池の火災リスク対策と消防計画の見直しが中心でした。野焼き規制への直接的な変更は限定的ですが、「火災予防の考え方」は確実に進化しています。
今回は改正のポイントを整理しながら、屋外火気使用(野焼き)と防災啓発の関係を解説します。


■① 2025年改正の核心は“蓄電池火災対策”

改正の柱は、リチウムイオン蓄電池の大容量化に伴う火災リスク対策です。
一定容量(50kWh超)の蓄電池を設置する施設では、自動火災検知器やスプリンクラーの設置が義務化され、消防計画への明記も必須となりました。違反時の罰則も規定されています。
背景には、電気設備由来の火災増加があります。


■② 消防計画の見直しと電子化

消防計画の届出は押印廃止・オンライン提出が標準化されました。
また、小規模店舗でも消火器設置や避難訓練の義務が拡大されています。
これは「形式」より「実効性」を重視する流れです。計画を出すだけでなく、実際に機能する体制づくりが求められています。


■③ 旧規格消火器の廃止

旧基準の消火器は使用禁止となり、交換期限が明確化されました。
現場では「まだ使えるから大丈夫」という誤解が根強いですが、消火器は初期消火の命綱です。元消防職員として強く言えるのは、初動の30秒が火災の規模を決めるということ。規格更新は単なる事務作業ではありません。


■④ 野焼き規制はどうなったのか

屋外火気使用(野焼き)については、消防法第13条の届出制度が継続され、2025年改正による直接的な規制強化はありませんでした。
しかし「火災予防思想の強化」という意味では、間接的な影響があります。火災リスクに対する社会の目は、年々厳しくなっています。


■⑤ よくある誤解|改正がなければ安全?

法改正がなかった=危険が増えていない、というわけではありません。
実際の火災は、法律の改正よりも早く現場で発生します。被災地派遣や現場調整(LO)に入った際も、「規制がなかったから大丈夫」という説明は通用しませんでした。問われるのは結果です。


■⑥ 野焼きと蓄電池火災に共通する本質

一見、野焼きと蓄電池火災は別問題に見えます。
しかし共通点は明確です。
・想定外の延焼
・初期対応の遅れ
・過信
火は種類が違っても、広がり方の怖さは同じです。


■⑦ 防災啓発で「消防法遵守」を明記する意味

野焼きに関する届出制度は継続されています。記事や啓発で「消防法遵守」を明記することは、単なる形式ではなく、判断基準を読者に渡す行為です。
行政側が言いにくい本音を一つ挙げるなら、「違法かどうか」よりも「事故が起きたかどうか」が社会的評価を決める、という現実です。だからこそ法令遵守を明文化する価値があります。


■⑧ 現場で見た“火の怖さ”

林野火災や延焼現場では、風向きの急変で退路が消える場面を何度も見ました。
元消防職員として断言できるのは、「火は制御できる」と思った瞬間が一番危険だということ。自律型避難と同じで、最悪を想定し、退路を確保する発想が命を守ります。


■まとめ|改正の有無より“火災予防の姿勢”

2025年の消防法改正は蓄電池対策が中心で、野焼き規制への直接影響は限定的でした。しかし、火災予防の意識は確実に強化されています。
法令を守ること、計画を実効性あるものにすること、装備を更新すること。これらはすべて命を守る行動です。

結論:
消防法改正の本質は「火災予防を形式から実効へ」進化させることにある。

元消防職員としての経験から言えば、事故は“改正の隙間”で起きます。法律を知ることはゴールではなく、判断力を高める手段です。火を扱う場面では、常にゼロから危険を見直す姿勢が必要です。

出典:総務省消防庁「令和7年施行 消防法改正関連資料」

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