【防災士が解説】衛星安否確認とは何か|通信が止まった時に命をつなぐ“最後の回線”

防災

地震や豪雨で電話やインターネットが使えなくなると、「無事です」という一言すら届けられなくなります。長野県喬木村で行われた中学生向け防災学習会では、衛星安否確認サービス「Q-ANPI(キューアンピ)」を体験。災害時に人工衛星を通じて安否情報を届ける仕組みを学びました。今回は、通信が途絶えた時に役立つ“衛星安否確認”の意味と活用のポイントを整理します。


■① 災害時に通信は止まるという現実

大規模災害では、携帯電話やインターネット回線が混雑や停電で使えなくなることがあります。実際、被災地派遣でLOとして入った現場でも、家族に連絡が取れず不安が広がる場面を何度も見ました。

「連絡が取れない=被害が大きい」とは限りませんが、不安が二次的な混乱を生みます。安否確認は、命を守るだけでなく“心を守る”役割もあります。


■② 衛星安否確認サービスの仕組み

Q-ANPIは、内閣府が運用する準天頂衛星「みちびき」を活用した安否確認サービスです。地上の通信網が使えない場合でも、専用端末を通じて衛星経由で国や自治体に情報を送信できます。

地上インフラに依存しないという点が最大の強みです。これは通常のインターネット回線とは大きく異なります。


■③ 実際の操作は意外とシンプル

学習会では、生徒たちがタブレットに氏名・電話番号・けがの有無などを入力し、専用端末にQRコードを読み込ませて送信しました。

操作が複雑でないことは重要です。災害時は焦りや緊張で判断力が落ちます。元消防職員として感じるのは、「直感的に使える」仕組みほど実際の現場で機能するということです。


■④ 若い世代が担う役割

中学生が学ぶ意味は大きいです。デジタル機器に慣れた世代が、災害時に高齢者や体の不自由な方を支援できる可能性があります。

防災士として現場で見てきたのは、若い世代の“操作力”が避難所運営を支えた事例です。自律型避難は、地域全体で支え合う力があってこそ成立します。


■⑤ 通信がある前提を疑う

私たちは普段、常に通信がある前提で生活しています。しかし災害はその前提を崩します。

「スマホがあるから大丈夫」という思い込みは危険です。衛星回線という“別の選択肢”を知っているかどうかで、対応力は変わります。


■⑥ 安否確認は“行政への報告”でもある

安否情報が自治体に届くことで、救助や支援の優先順位づけに役立ちます。個人の安心だけでなく、行政の判断材料にもなります。

被災地派遣では、情報が集まらずに対応が遅れるケースを経験しました。正確な安否情報は、支援のスピードを左右します。


■⑦ 事前に体験することの重要性

操作方法を知っているだけでなく、実際に体験しておくことが大切です。訓練していない仕組みは、本番で使われにくいからです。

防災士として感じる“よくある誤解”は、「知識があれば使える」という思い込みです。体験して初めて、動作は身につきます。


■⑧ 今日できる備え

・自治体の安否確認方法を確認する
・災害用伝言ダイヤルやWeb171を知っておく
・地域の防災訓練に参加する

衛星安否確認は特別な仕組みですが、「複数の連絡手段を持つ」意識は誰でも持てます。


■まとめ|通信が止まった時こそ“別の回線”が命を守る

災害時に最初に混乱するのは情報です。電話やネットが止まっても、衛星という選択肢があることは大きな安心材料になります。

結論:
安否確認の多重化こそが、これからの防災の基本である。

被災地で痛感したのは、「連絡が取れた」という事実がどれだけ人を落ち着かせるかということでした。技術の力を地域の力に変える。その一歩が、今回のような学習会です。

【出典】内閣府 準天頂衛星システム「みちびき」
https://qzss.go.jp/

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