住宅火災の原因として、
毎年上位に挙がるのが「こんろ火災」です。
特に天ぷら油火災は、
一瞬で炎が立ち上がり、
消火が難しくなります。
そのリスクを下げる装置が、
「天ぷら油消火用簡易装置」です。
今回は元消防職員として、
その仕組みと効果をわかりやすく解説します。
■① 天ぷら油消火用簡易装置とは
天ぷら油消火用簡易装置は、
コンロの上部に設置し、
火災の熱を感知すると
自動的に消火剤を放射する装置です。
人が操作しなくても、
一定温度に達すると作動します。
火が立ち上がる前の初期段階で抑えることが目的です。
■② なぜ天ぷら油火災は危険なのか
油は約370℃前後で自然発火するとされています。
発火すると、
✔ 一気に炎が立ち上がる
✔ 水をかけると爆発的に燃え広がる
✔ 消火のタイミングが難しい
という特徴があります。
現場でも、
「ほんの数秒の目離し」が原因のケースが多くあります。
■③ 装置の仕組み
この装置は、
熱を感知すると
内蔵された消火剤をコンロ上部から放射します。
放射された消火剤が油面を覆い、
酸素を遮断して消火します。
コンロに直接設置するため、
火元に近い位置で作動できるのが特徴です。
■④ 実際の現場で感じたこと
住宅火災の現場で多いのが、
「揚げ物中に電話が鳴った」
「少しだけ目を離した」
というケースです。
被災地派遣や住宅火災対応で、
台所から全焼に至った事例も見てきました。
火は“待ってくれない”。
だからこそ、
自動で作動する仕組みは有効です。
■⑤ 誤解されがちなポイント
よくある誤解は、
「消火器があるから大丈夫」
しかし天ぷら油火災は、
近づきすぎると油が飛散し、
やけどの危険があります。
簡易装置は
人が近づく前に作動する点が強みです。
ただし、
✔ 設置位置が適切か
✔ 使用期限が切れていないか
の確認は必須です。
■⑥ 自律型避難の視点
この装置は、
「消さなくていい」装置ではありません。
あくまで、
初期段階で火勢を抑える装置です。
火が大きくなった場合は、
すぐに避難し119番通報を。
判断を軽くするためにも、
「炎が天井に届いたら逃げる」と決めておきましょう。
■⑦ 水をかけてはいけない理由
天ぷら油火災で
絶対にやってはいけないのが水の放射です。
水が油に触れると、
瞬時に水蒸気爆発を起こし、
炎が一気に拡大します。
現場でも、
水をかけて延焼した事例は少なくありません。
消火器や装置、
または鍋の蓋で空気を遮断する方法が有効です。
■⑧ 台所は最も火災が起きやすい場所
住宅火災の中で、
台所は非常に発生率が高い場所です。
✔ 高齢者世帯
✔ 小さな子どもがいる家庭
✔ 揚げ物をよくする家庭
こうした家庭では、
導入を検討する価値があります。
■まとめ|天ぷら油火災は“瞬間勝負”
天ぷら油消火用簡易装置は、
✔ 熱を感知して自動放射
✔ 火元に近い位置で作動
✔ 初期消火を補助
する設備です。
結論:
天ぷら油火災は一瞬で拡大するため、自動で抑える仕組みを持つことが命を守ります。
元消防職員として言えるのは、
「あと数十秒早ければ」という現場が多いこと。
台所は毎日使う場所です。
だからこそ、
仕組みで守る防災を考えてみてください。
【出典】
総務省消防庁「住宅防火対策」
https://www.fdma.go.jp/

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