【防災士が解説】政府備蓄米「手じまい」問題から考える家庭備蓄の本質

2026年2月、政府備蓄米の在庫が
大きく減少していることが報じられました。

本来は凶作や大規模災害に備えるための制度ですが、
市場価格の高止まりや買い戻しの難しさが課題となっています。

このニュースは、
「国があるから大丈夫」という思い込みを
見直すきっかけになります。

今日は、
備蓄米問題を通して、
家庭備蓄の本質を考えます。


■① 備蓄米とは何のためにあるのか

政府備蓄米は、
凶作や災害などによる供給不足に備えた
国家レベルの安全装置です。

しかし今回、
在庫は大幅に減少し、
適正水準を大きく下回る状況となっています。

放出はできても、
買い戻しは価格を押し上げる可能性がある。

ここに制度の難しさがあります。


■② 「供給はあるのに高い」という違和感

報道では、
供給量は潤沢とされながら、
5キロ4000円台の高値が続いています。

これは流通や需給心理の問題が絡みます。

災害時も同じです。

物があるのに、
店頭に並ばない。
心理が価格を動かす。

これを私は
「心理的需給」と呼んでいます。


■③ 国の備えと家庭の備えは別

被災地派遣で感じたのは、

「国の支援は必ず来るが、すぐには来ない」

という現実です。

熊本地震の際も、
物資は届きましたが、
最初の数日は各家庭の備えが明暗を分けました。

政府備蓄は“最後の砦”。

家庭備蓄は“最初の砦”です。

役割が違います。


■④ 備蓄は価格高騰リスクへの保険

今回の備蓄米問題は、
価格変動リスクの象徴です。

災害が起きると、
一時的に買い占めや流通停滞が起こります。

そのとき、
自宅に1〜2週間分の主食があれば、
焦って高値で買う必要がありません。

これは
「お金の防災」でもあります。


■⑤ 正常性バイアスに注意

「日本は米が余る国だから大丈夫」
「国が管理しているから安心」

これは正常性バイアスです。

防災士として伝えたいのは、

安心は“構造”で決まるということ。

供給が安定していても、
流通が滞れば店頭は空になります。


■⑥ 家庭でできる現実的な備え

✔ 常に米を5〜10キロ余分に持つ
✔ ローリングストックを習慣化する
✔ 米だけでなく乾麺・レトルトも組み合わせる

特別なことは不要です。

普段の買い物を
少しだけ前倒しするだけでいい。


■⑦ 被災地で見た“備蓄の差”

能登半島地震の家屋調査に入った際、
高齢世帯で食料が尽きかけている家がありました。

一方、
別の家庭では
1週間分以上の米と水を確保していました。

この差は、
所得ではなく“意識”でした。

「判断を軽くする知識」があるかどうか。

そこが分岐点になります。


■⑧ まとめ|国家備蓄より先に家庭備蓄

政府の備蓄制度は重要です。
しかし、
それはマクロの安全装置。

あなたの生活を守るのは、
ミクロの備えです。

備蓄米問題は、
食料安全保障のニュースであると同時に、
家庭防災のヒントでもあります。

「余っている国」でも、
「足りなくなる瞬間」はあります。

だからこそ、
今日の買い物で
1袋だけ多く持つ。

それが、
最も現実的な防災行動です。


【出典】
農林水産省「政府備蓄米制度の概要」
https://www.maff.go.jp/

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