【防災士が解説】キャンピングカー避難時の防寒対策|低体温症を防ぐ「順番」と最小装備

災害で避難所が満員、あるいは自宅が危険で戻れないとき、キャンピングカー(車中避難)は「屋根と壁がある」強みがあります。
ただし冬は、寒さを甘く見ると一晩で体力を削られ、判断力が落ち、低体温症リスクが一気に上がります。
ここでは、キャンピングカー避難で“命を守る防寒”を、やる順番と最小装備に落として解説します。

目次

  • ■① まず結論:防寒は「床・風・湿気」を止めれば勝てる
  • ■② 車内が寒くなる本当の理由(外気温だけじゃない)
  • ■③ 防寒の正しい順番(到着〜就寝まで)
  • ■④ 最小装備:まず揃える7つ
  • ■⑤ 暖房を使う場合の安全ルール(火災・一酸化炭素)
  • ■⑥ 濡れたときの復旧手順(雨・雪・汗)
  • ■⑦ 子ども・高齢者がいる場合の“弱点”と対策
  • ■⑧ やらなくていい防寒(ムダ・危険・疲れる)
  • ■結語:今日の最小行動

■① まず結論:防寒は「床・風・湿気」を止めれば勝てる

冬の車中避難で寒いのは、気温よりも体から熱が奪われるルートが多いからです。

  • 床(伝導):足元・背中から熱が抜ける
  • 風(対流):ドア隙間・換気で冷気が回る
  • 湿気(蒸発):汗・結露・濡れで一気に冷える

ここを止めるだけで、同じ装備でも体感は別物になります。


■② 車内が寒くなる本当の理由(外気温だけじゃない)

キャンピングカーでも、寒さの原因は複合です。

  • 窓が冷える:ガラス面で放射冷却が起きる
  • 床が冷える:地面の冷えが車体を通して上がる
  • 結露が出る:呼気・調理で湿度が上がり、濡れて冷える
  • 夜間に体温が落ちる:睡眠中は代謝が下がりやすい

元消防職員として現場で見てきたのは、「寒いだけ」と思っていた人ほど、翌朝に頭が回らない・震える・動けない側に寄っていくことです。防寒は快適の話ではなく、判断力の維持です。


■③ 防寒の正しい順番(到着〜就寝まで)

避難先に着いたら、順番で勝ちます。

1) 床を断つ
段ボール/銀マット/厚手マットを敷く。足元だけでも効果大。
2) 風を止める
窓に断熱シート、カーテンを閉める。隙間はタオルで埋める。
3) 乾いた状態を作る
濡れ衣類・靴下は最優先で交換。濡れは敗北条件。
4) 首・手首・足首を温める
太い血管を守ると全身が楽になる。
5) 温かい飲み物を入れる
体内から温める。甘い飲料は“燃料”になることがある。
6) 就寝は「重ね着より、空気の層」
薄手を重ね、締め付けない。血流を殺さない。


■④ 最小装備:まず揃える7つ

キャンピングカー避難の防寒は「全部買う」より「必須だけ」。

  1. 銀マット or 厚手マット(床の熱奪取を止める)
  2. 寝袋(冬対応)(毛布より“包む”が強い)
  3. 毛布1枚(寝袋の外側に足す用)
  4. 手袋・ニット帽(末端冷えで眠れなくなるのを止める)
  5. 乾いた靴下を多め(濡れ=冷えの最短ルート)
  6. 使い捨てカイロ(貼る場所は“足先より体幹寄り”が効く)
  7. 結露ふきタオル+ビニール袋(濡れ物を隔離して湿気を増やさない)

「標準セット」から「自分セット」に仕上げるなら、
あなたの弱点(冷えやすい部位・睡眠の質・持病)に合わせて、帽子・マット厚・寝袋性能を優先調整してください。


■⑤ 暖房を使う場合の安全ルール(火災・一酸化炭素)

暖房は便利ですが、避難では事故が起きやすい。

  • 換気は必須(密閉での燃焼は危険)
  • 可燃物を1m離す(毛布・衣類・紙類は燃える)
  • 就寝中は基本OFF(寝落ちが事故を呼ぶ)
  • 警報器を信じるより、ルールを決める(電池切れや誤作動もある)

寒さを我慢しすぎるのも危険ですが、火災・中毒は一発で詰みます。
「暖房を使うなら、使い方を固定する」が安全です。


■⑥ 濡れたときの復旧手順(雨・雪・汗)

濡れた瞬間から、体温は奪われます。復旧は速さが命。

1) 濡れた衣類を脱ぐ
2) 乾いた下着・靴下を最優先で着る
3) 濡れ物は袋に隔離(車内の湿度を上げない)
4) 温かい飲み物+体幹を保温
5) 眠る前に、背中と足元の断熱を再確認

LO派遣の現場でも「濡れたまま我慢」が体調悪化の起点になりやすかったです。濡れは精神論で耐えないで、手順で潰します。


■⑦ 子ども・高齢者がいる場合の“弱点”と対策

同じ寒さでも、影響は偏ります。

子ども

  • 体温調整が未熟で、急に冷える
  • 寒さを我慢して言わないことがある
    対策:就寝前に「手が冷たくない?足先どう?」を声かけで確認。

高齢者

  • 冷えを感じにくい/感じたときには進行している
  • 夜間トイレで動いて冷えやすい
    対策:足元断熱を厚く、トイレ動線にライト、上着を手の届く位置へ。

■⑧ やらなくていい防寒(ムダ・危険・疲れる)

  • 厚着しすぎて汗をかく(汗→冷えで逆効果)
  • とにかく暖房を強くする(乾燥・結露・事故の元)
  • 窓を完全密閉にする(換気ゼロは別のリスクを増やす)
  • 根性で耐える(判断力が落ちたら避難の意味が薄れる)

防寒は「我慢」ではなく「熱を逃がさない設計」です。


■結語:今日の最小行動

今日やるなら、これだけでOKです。

  • 銀マット(または段ボール)を床に敷く
  • 乾いた靴下を追加で2足、車に入れる
  • 寝具は“包む”前提で見直す(寝袋 or 重ね方)

出典:内閣府(防災担当)「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン(チェックリスト)」https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/2412hinanjo_guideline.pdf

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