【防災士が解説】ポータブル水タンクの活用法|断水でも「生活用水」が切れない順番

断水は「飲み水」より先に、手洗い・簡易トイレ・食器の汚れ落としなど“生活用水”を奪います。キャンピングカー避難でも在宅避難でも、ポータブル水タンク(給水タンク/ポリタンク)を1つ持っているだけで、家族のストレスが段違いに下がります。ここでは、失敗しない使い方を“順番”で整理します。

目次

  • ■① ポータブル水タンクが効く場面(飲む水より先に困る)
  • ■② 選び方の結論(容量・蛇口・運び方で決める)
  • ■③ 使い道を固定する(飲用と生活用水を分ける)
  • ■④ 給水の取り方(給水所・配水車・受水槽の現実)
  • ■⑤ 車内・自宅での置き方(転倒・漏れ・汚染を防ぐ)
  • ■⑥ 断水時の“水の節約ルール”(手洗い・トイレ・食器)
  • ■⑦ やらなくていいこと(無駄に消耗する行動)
  • ■⑧ 今日の最小行動(5分で家が強くなる)

■① ポータブル水タンクが効く場面(飲む水より先に困る)

断水で最初に詰まるのは、実は「飲み水」より“生活用水”です。

  • 簡易トイレの処理で手が汚れる → 手洗いができない
  • 体拭き用の水が足りない → 不快で睡眠が落ちる
  • 食器を洗えない → 衛生が崩れる
  • 乳幼児・高齢者のケア → こまめな清潔維持が必要

被災地支援の現場では、給水そのものより「家に持ち帰る手段」がボトルネックになる場面が何度もありました。給水所で水は出ているのに、容器がない・運べない・家の中で保管できない。この“最後の一手”を埋めるのが水タンクです。


■② 選び方の結論(容量・蛇口・運び方で決める)

結論は「家族構成×運搬力」で決めます。

  • 10L:扱いやすい。子どもや高齢者でも運べる
  • 20L:コスパ良いが重い(満水で約20kg)。段差があると一気に苦行
  • 蛇口付き:手洗い・コップ注ぎが圧倒的に楽。漏れにくい構造が重要
  • 取っ手形状:片手で持てるか、両手が必要かで疲労が変わる
  • 角型:車載・保管しやすい。丸型より“転がりにくい”

キャンピングカー運用なら「10L×2本」が現実解になりやすいです。重さを分散でき、給水所の列でも扱いやすいからです。


■③ 使い道を固定する(飲用と生活用水を分ける)

混ぜると一気に不衛生になります。最初から役割を分けます。

  • 飲用・調理用:未開封の水(ペットボトル等)を優先
  • 生活用水:ポータブル水タンク(手洗い・拭き取り・簡易トイレ補助など)

「飲める水」を生活用水に回すと、後半で精神的に追い詰められます。逆に、生活用水が確保できると、避難生活の“尊厳”が守れます。


■④ 給水の取り方(給水所・配水車・受水槽の現実)

給水は「取りに行けば終わり」ではありません。

  • 給水所:列が長い。容器の数・運搬手段が差になる
  • 配水車:時間が読めない。情報収集と待機の体力が必要
  • 受水槽・井戸等:地域差が大きい。自治体の案内が優先

支援現場では、夕方に情報が出て夜に並ぶ、という流れも普通に起きます。だからこそ、水タンクは“平時に車へ固定装備”しておくと強いです。


■⑤ 車内・自宅での置き方(転倒・漏れ・汚染を防ぐ)

置き方を間違えると、車内が水浸しになり一気に生活が崩れます。

  • 車内:荷室の床に置き、滑り止め+固定(ベルト・ネット)
  • 直射日光:避ける(温度上昇で劣化・変形・臭いの原因)
  • 排気・薬品・灯油:近くに置かない(臭い移り・汚染リスク)
  • 自宅:玄関付近など“持ち出しやすい場所”に。床面に置いて転倒防止

蛇口の根元は特に緩みやすいので、運用前に「満水→5分放置→漏れ確認」をルール化すると失敗が減ります。


■⑥ 断水時の“水の節約ルール”(手洗い・トイレ・食器)

水タンクがあると「節約がうまくなる」のが本質です。

  • 手洗い:濡らす→石けん→少量で流す(出しっぱなし禁止)
  • 体拭き:タオルを湿らせる方式(浴びる発想を捨てる)
  • 食器:ラップ・使い捨てで“洗わない設計”に寄せる
  • トイレ:簡易トイレ主体。水洗に戻そうとして水を溶かさない

特に避難生活では、睡眠の質=回復力です。清潔が保てると、家族のイライラが減り、判断も崩れにくくなります。


■⑦ やらなくていいこと(無駄に消耗する行動)

  • 20L満水1本で“全部やろう”とする(運搬で腰と体力が死ぬ)
  • 飲用水を生活用水に回しすぎる(後半で不安が爆発する)
  • 置き場所を適当にする(漏れ・転倒・臭い移りで結局使えない)
  • 最初から完璧を狙う(まずは「運べる水」を持つことが勝ち)

怖がりすぎて動けないより、雑でも“回る仕組み”を先に作った方が現実は強いです。


■⑧ 今日の最小行動(5分で家が強くなる)

  • 10L級の水タンクを「1つだけ」決める(まずは1つでOK)
  • 置き場所を決める(玄関 or 車の荷室)
  • 蛇口の漏れ確認だけやる(満水→5分→確認)
  • 使い道をラベルで固定する(「生活用水」)

この4つだけで、断水の不安が一段落ちます。備えは“量”より“運用”です。


出典:首相官邸「災害が起きる前にできること」(飲料水の目安・生活用水の備え) https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html

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