キャンピングカー避難は「屋根がある」「荷物が積める」「移動できる」強みがあります。ですが高齢者が一緒だと、避難の成否は“持ち物”よりも「体調の崩れを起こさない設計」で決まります。
元消防職員として現場に入った時も、避難生活で増えたのは大けがより「転倒」「脱水」「持病悪化」「睡眠不足」でした。被災地支援(LOとして現地調整に入った場面)でも、高齢者の体調が一度崩れると、家族全員の判断と行動が止まるのを何度も見ました。ここでは、車で避難するなら必ず押さえたい注意点を、順番で整理します。
目次
- ■① 高齢者同伴で詰みやすい5つ(転倒・脱水・冷え・熱・薬)
- ■② まず決める「移動の基準」(無理に動かないルール)
- ■③ 車内レイアウトの基本(立つ・歩く・寝るを安全に)
- ■④ 水分・食事・トイレの回し方(体調はここで崩れる)
- ■⑤ 薬・持病・通院の備え(絶対に切らさない)
- ■⑥ 暑さ寒さ対策(高齢者は体温調整が苦手)
- ■⑦ 眠れる環境とストレス対策(夜を守る)
- ■⑧ 今日の最小行動(20分で完成)
■① 高齢者同伴で詰みやすい5つ(転倒・脱水・冷え・熱・薬)
高齢者と一緒の避難で、現場で本当に多かったのはこの5つです。
- 転倒:暗い・段差・荷物でつまずく
- 脱水:喉が渇いても飲まない/トイレを我慢する
- 冷え:足元から冷えて動けなくなる
- 暑さ:熱がこもっても気づきにくい
- 薬:飲み忘れ/薬切れ/保管ミス
キャンピングカーは便利ですが、車内が狭く段差もあるため、転倒リスクが上がります。まず「転ばせない」「脱水させない」を最優先にしてください。
■② まず決める「移動の基準」(無理に動かないルール)
車で避難する最大の失敗は、体調が崩れてから“移動を続ける”ことです。家族で基準を固定します。
- 夜は原則動かない(危険が迫る場合は例外)
- 休憩は早め・多め(1〜2時間ごとに姿勢を変える)
- 渋滞に突っ込まない(引き返せるルート優先)
- 高齢者が「しんどい」と言ったら即止まる(我慢を前提にしない)
避難は「早い判断」も大事ですが、高齢者同伴では「安全に続けられる判断」がもっと大事です。
■③ 車内レイアウトの基本(立つ・歩く・寝るを安全に)
車内は“生活空間”なので、配置が安全を決めます。
- 通路を空ける:床に荷物を置かない(つまずき防止)
- 立ち上がる場所を固定:掴める場所(手すり代わり)を作る
- 段差を見える化:足元ライトを出入口と通路に
- 寝床は硬すぎを避ける:腰痛・褥瘡(床ずれ)予防
- よく使う物は腰より上に置かない:落下事故を減らす
元消防の感覚では「ライトの定位置」と「床に物を置かない」だけで、夜間転倒はかなり減ります。
■④ 水分・食事・トイレの回し方(体調はここで崩れる)
高齢者は脱水になりやすく、本人が気づきにくいです。
- 水分は“少量を回す”:一気飲みより回数
- トイレ我慢をさせない:失禁や便秘、熱中症につながる
- 塩分も一緒に:汗をかく時期は水だけだと崩れやすい
- 食事は消化に寄せる:脂っこい非常食で胃腸が止まることがある
被災地でも「トイレを我慢→水を飲まない→脱水→体調悪化」の連鎖が多発しました。トイレ対策は“遠慮より健康”が優先です。
■⑤ 薬・持病・通院の備え(絶対に切らさない)
高齢者同伴で最重要なのが薬です。
- 常備薬は最低7日分(可能なら14日分)
- お薬手帳(写メでも可)
- 服薬時間を固定:朝・昼・夕・寝る前など
- 取り出しやすい場所に:奥にしまわない
- かかりつけ・緊急連絡先を紙に:スマホが死ぬ前提も持つ
災害時は医療アクセスが落ちます。薬切れは「体調が崩れるスイッチ」になりやすいので、最優先で守ります。
■⑥ 暑さ寒さ対策(高齢者は体温調整が苦手)
高齢者は暑さ・寒さの感覚が鈍くなりやすく、対応が遅れます。
暑さ(春〜夏)
- 日射を遮る:窓の遮熱・日よけ
- 風を作る:扇風機・換気
- 首・脇・鼠径部を冷やす:冷却タオル等
- 早めに休む:疲労が熱中症を呼ぶ
寒さ(秋〜冬)
- 足元を優先:床の冷えを切る(マット・毛布)
- 首・手首・足首を温める
- 寝る前に冷えを取る:温かい飲み物や湯たんぽ等
車内は外気の影響を受けやすいので、季節に合わせて「体温管理の導線」を作ってください。
■⑦ 眠れる環境とストレス対策(夜を守る)
避難生活は「夜を守れるか」で翌日の判断力が変わります。
- まぶしさを減らす:弱い常夜灯に固定
- 音を減らす:外音が強い場所は避ける
- 寝具は“厚み”を確保:腰痛・関節痛を防ぐ
- 夜間トイレの導線:ライトを定位置に、床に物を置かない
- 不安対策は情報:ラジオ・家族の声掛けをルーティン化
高齢者は遠慮して不調を言いにくいことがあります。「言わなくても気づく仕組み」を作るのが家族の仕事です。
■⑧ 今日の最小行動(20分で完成)
- 車内通路の床置きをゼロにする(つまずき防止)
- 出入口と通路に足元ライトを固定する
- 薬セットを1袋にまとめ、取り出し場所を決める
- 水分ルールを作る(例:1時間に数口、トイレ我慢禁止)
- 夜間トイレ導線を試し歩きして危ない場所を潰す
これだけで「高齢者同伴の車避難」は一段安全になります。
■結語
高齢者と一緒のキャンピングカー避難は、装備の量より「転倒・脱水・暑さ寒さ・薬切れ」を起こさない設計が勝ちです。
無理に動かない基準、床に物を置かない導線、水分と薬の固定運用。ここを押さえれば、避難生活の失敗は大きく減らせます。
出典:内閣府(防災情報)「避難生活での健康管理(避難所運営等に関する情報)」https://www.bousai.go.jp/kyoiku/hinanjou/


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