【防災士が解説】冬季キャンピングカー避難の暖房と防寒アイテム|安全に暖を取る現実解

冬の災害は「寒さ」そのものが体力を奪い、判断力を鈍らせます。避難所の体育館でも、底冷えで眠れず体調を崩す人を何度も見ました。キャンピングカー避難は“寒さを避けやすい”反面、車内は密閉空間になりやすく、暖房の使い方を間違えると一酸化炭素中毒や火災につながります。
ここでは「暖を取る」ことを最優先にしつつ、“安全に暖を取る”ためのルールと、揃えるべき防寒アイテムを具体的にまとめます。


Table of Contents

  • ■① 冬の車内で起きる「冷えの正体」と危険
  • ■② 結論:暖房は「燃焼系を避ける」が基本
  • ■③ まず揃える防寒アイテム(体を守る)
  • ■④ 寝る環境の作り方(眠れないを潰す)
  • ■⑤ どうしても暖房を使うときの安全ルール
  • ■⑥ 家族・子ども・高齢者がいる場合の工夫
  • ■⑦ やらなくていい防寒(お金と荷物を減らす)
  • ■⑧ 今日の最小行動(5分で安全度を上げる)
  • ■まとめ

■① 冬の車内で起きる「冷えの正体」と危険

冬の車内は、外気温が低いだけでなく「床・窓・金属パーツ」が冷えて熱を奪います。特に就寝中は体温が下がりやすく、冷え→眠れない→疲労→判断ミスの流れが起きやすい。
現場でも、寒さで眠れず持病が悪化したり、翌日の行動が遅れてしまうケースが多かったです。冬の避難は“まず眠る環境を確保する”のが正解です。


■② 結論:暖房は「燃焼系を避ける」が基本

車内は狭く、換気量も限られます。燃焼系(石油ストーブ・ガス器具・炭など)は、酸欠や一酸化炭素中毒のリスクが跳ね上がります。
キャンピングカーの強みは「電源(バッテリー)と断熱」を作れること。基本戦略はこの順番です。

1) 断熱で“逃げる熱”を減らす
2) 寝具で“体温を守る”
3) 可能なら電気で“補助加温”
4) 燃焼系は最終手段(使うならルール厳守)


■③ まず揃える防寒アイテム(体を守る)

冬の車中避難は「着る・敷く・掛ける」で決まります。高価な装備より“重ね方”が大事です。

  • ベースレイヤー(肌着):速乾・保温(綿より化繊/ウール系が有利)
  • 中間着:フリース/薄手ダウンなど(動ける厚み)
  • 仕上げ:風を止める上着(シェル/ウインドブレーカー)
  • 首・手・足:ネックウォーマー、手袋、厚手靴下(ここが最重要)
  • 使い捨てカイロ:貼るタイプ+足先用(低温やけど注意)
  • ブランケット:1枚より複数枚(調整しやすい)
  • 断熱シート/銀マット:床からの冷えを遮断(敷く用途が効く)

※「寒さを我慢して体力温存」は逆です。体力が落ちると判断が崩れます。まず温める工夫を。


■④ 寝る環境の作り方(眠れないを潰す)

眠れない最大原因は「床冷え」と「隙間風」です。就寝セットはこの順番が効きます。

  • 床:銀マット(断熱)→厚手マット(クッション)→寝袋/布団
  • 上:寝袋(可能なら冬用)+ブランケット追加
  • 首元:ネックウォーマー+帽子(頭から熱が逃げる)
  • 窓:サンシェード/断熱ボード(結露も減る)
  • 湿度:乾燥しすぎると喉が痛くなる→濡れタオルを1枚干す程度でOK

現場経験上、寝袋の性能よりも「床対策」が先です。床が冷たいと、どれだけ上を厚くしても負けます。


■⑤ どうしても暖房を使うときの安全ルール

どうしても加温が必要な場面はあります。ここで事故が起きやすいので、ルールを固定します。

  • 就寝中は燃焼系を使わない(寝る前に確実に消す)
  • 車内・テント内で石油/ガス器具を使わない(酸欠・COリスクが高い)
  • 火気周りは可燃物ゼロ(寝具・衣類・紙類は距離を取る)
  • 換気は“短時間でも確実に”(寒いからこそ意識が落ちる)
  • 可能ならCO警報器を導入(ただし“持ってるから安全”ではない)
  • 暖房より先に断熱(窓・床・隙間)を固める

被災地でも「寒さで判断が雑になる→換気を怠る→体調不良」の流れは本当に多いです。寒いほど、ルールを簡単にして守れる形にします。


■⑥ 家族・子ども・高齢者がいる場合の工夫

  • 子ども:汗冷えが多い(動いて暑い→汗→冷える)
    → こまめな着替え、首/足の保温、寝る前に汗を拭く
  • 高齢者:冷えを自覚しにくい/トイレで体温低下
    → 足元保温(靴下重ね)、寝床をトイレ動線に近づける、温かい飲み物(可能な範囲で)
  • 家族全体:寒さは不安を増やす
    → “夜のルール”を固定(照明位置、トイレ導線、防寒の順番)

■⑦ やらなくていい防寒(お金と荷物を減らす)

  • 高価な装備を一気に揃える(まず床断熱と首手足の保温で十分効く)
  • 車内を“暑いほど温める”(温度差で結露→濡れ→冷えに戻る)
  • 暖房器具を増やして安心する(運用を間違えると危険が増える)

■⑧ 今日の最小行動(5分で安全度を上げる)

  • 床用に「銀マット or 断熱シート」を1つ確保する
  • 首・手・足の防寒(ネックウォーマー、手袋、厚手靴下)を袋にまとめる
  • 就寝前ルールを1行で決める
    「寝る前に火気は使わない。暖は寝具と断熱で取る。」

■まとめ

冬のキャンピングカー避難は、暖房の種類より「断熱+寝具+運用ルール」で安全度が決まります。寒さは体力と判断力を奪いますが、車内は密閉空間ゆえに“暖の取り方”を間違えると命に直結します。
まずは床の断熱と首手足の保温を固め、燃焼系に頼らない形で「眠れる環境」を作ってください。


出典:NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)「一酸化炭素中毒の事故」https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/mailmagazin/2022fy/vol423_230228.html

コメント

タイトルとURLをコピーしました