【防災士が解説】車中泊用寝袋・マットの選び方|避難で「眠れる環境」を最短で作る

災害で避難所が満員、または自宅が危険で車中泊を選ぶとき、最初に崩れるのは「睡眠」です。眠れないと判断力が落ち、体調も崩れ、翌日の行動が一気に危険になります。
ここでは、車中泊避難で“確実に眠れる”寝袋・マットの選び方を、失敗しない基準だけに絞ってまとめます。

目次

  • ■① 車中泊で「寝袋・マット」が最優先になる理由
  • ■② 寝袋の基本:封筒型とマミー型、どちらが正解?
  • ■③ 「温度表示」の見方|数字だけで選ぶと失敗する
  • ■④ マットが9割:厚み・素材・音で選ぶ
  • ■⑤ 腰痛・背中痛を防ぐ“現実解”セット
  • ■⑥ 冬の車中泊で凍えないための重ね方
  • ■⑦ 夏の車中泊で蒸れない・熱がこもらない工夫
  • ■⑧ 失敗しない最小セット(家族構成別の目安)
  • ■まとめ

■① 車中泊で「寝袋・マット」が最優先になる理由

車中泊は、床が硬い・段差がある・体温が奪われる、の3点で「寝られない条件」が揃います。
さらに避難生活では、睡眠不足=ミス増加です。転倒、体調悪化、判断遅れ、イライラによる家族不和まで連鎖します。

被災地で避難所対応に入ったときも、「横になれない」「冷える」「眠れない」が一番の不満でした。寝具の差は、そのまま生活の安定度の差になります。


■② 寝袋の基本:封筒型とマミー型、どちらが正解?

結論はこうです。

  • 寒い季節・寒冷地・標高が高い地域マミー型が有利(首・肩から熱が逃げにくい)
  • 春秋・都市部・子どもと一緒封筒型が扱いやすい(開閉しやすく、温度調整が楽)

車中泊避難では「寝袋単体で完結」より、重ね着・毛布・マットと組み合わせる方が現実的です。
その前提なら、家族用は封筒型を軸にして、寒さが厳しい人だけマミー型、が失敗しにくいです。


■③ 「温度表示」の見方|数字だけで選ぶと失敗する

寝袋の温度表示は、目安にはなりますが「その温度なら必ず眠れる」ではありません。
車内は地面から冷えが来るので、寝袋よりマット不足が原因で冷えることが多いです。

失敗しない考え方はこれです。

  • 寝袋の温度は「そのまま信じない」
  • マット+服装+毛布で調整する
  • 寒い日は「上から掛ける」より下(マット)を強化する

「寝袋を高級にしたのに寒い」は、下の冷え(底冷え)で起きます。


■④ マットが9割:厚み・素材・音で選ぶ

車中泊で眠れるかは、ほぼマットで決まります。選ぶ基準は3つだけでOKです。

  • 厚み:最低でも5cm、できれば8〜10cm
  • 素材:空気だけのエアマットより、フォーム系や自動膨張が安定
  • 音:寝返りで“ギュッギュッ”鳴るタイプは避難ではストレスになりやすい

避難で疲れているほど、ちょっとした音や沈み込みが睡眠を邪魔します。
まずは「厚み」と「安定感」を最優先にしてください。


■⑤ 腰痛・背中痛を防ぐ“現実解”セット

腰や背中が弱い人ほど、車中泊は地獄になりやすいです。対策はシンプルです。

  • マット厚め(8〜10cm)
  • 段差を埋める(タオル・衣類・クッションで“凹み”を消す)
  • 枕を作りすぎない(首が高いと腰が痛くなる)
  • 横向き派は膝の間にタオル(骨盤が楽になる)

「高い寝袋」より、「段差を消す」「沈み込みを減らす」が効きます。
最初に“寝る面”を整えるだけで、翌日の体調が変わります。


■⑥ 冬の車中泊で凍えないための重ね方

冬の基本は「下を厚く、上は調整」です。

  • 床→マット→(あれば)毛布1枚→寝袋
  • 服装は「首・手首・足首」を温める(ここが冷えると眠れない)
  • 寝袋の中に湯たんぽを入れるなら、低温やけど防止でタオルに包む

エンジンを切って寝る前提なら、冷え対策は必須です。
車内は思った以上に体温が奪われます。


■⑦ 夏の車中泊で蒸れない・熱がこもらない工夫

夏は「寝袋を使わない」選択も正解です。

  • 薄いタオルケット+マットで十分な日が多い
  • 風の通り道を作る(少しの換気でも体感が変わる)
  • 汗をかいたら、濡れタオルで首・脇・足の付け根を冷やす

暑い夜は、眠れない=翌日の熱中症リスクが上がります。
「寝具は軽く、体温調整を優先」が夏の基本です。


■⑧ 失敗しない最小セット(家族構成別の目安)

買い足し最小で成立させるなら、この考え方です。

1人(大人)

  • 厚めマット1
  • 寝袋1(春秋対応)
  • 追加の毛布1

夫婦・大人2人

  • 厚めマット2(連結できるならなお良い)
  • 封筒型寝袋2
  • 毛布2(1人1枚あると体温調整が楽)

子ども連れ

  • 子どもは体温調整が難しいので「寝袋1つで固定」より
  • 毛布・タオル・上着で微調整できる構成が失敗しにくい

「寝袋だけ揃えたのに眠れない」にならないよう、マットを先に確保してください。


■まとめ

車中泊避難で一番大事なのは「眠れる環境」を早く作ることです。
寝袋のスペックより、マットの厚み・安定感・段差解消が効きます。
最小セットでいいので、まずは“寝る面”を整える。それが避難生活の崩壊を防ぎます。


出典:内閣府「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針(避難所運営)」
https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/1605kankyokakuho.pdf

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