【防災士が解説】高齢者と一緒にキャンピングカー避難の注意点|転倒・脱水・薬切れを防ぐ「介護負担が崩れない順番」

高齢者と一緒の避難は、装備の有無より「体調が崩れる順番」を先に潰せるかで決まります。
キャンピングカー避難は、避難所の混雑や感染リスクを避けやすい一方で、車内は狭く、温度変化が大きく、転倒もしやすい環境です。
被災地の避難所運営や現場支援でも、高齢者は“我慢して言わない”“気づいた時には悪化している”が多く、結果として家族の負担が急増しました。車中避難でも同じ構図が起きます。先回りで潰しておくのが最優先です。

目次

  • ■① 結論:高齢者同伴の車中避難は「転倒・脱水・薬」を最優先で守る
  • ■② 車内で起きやすい3大事故:転倒・熱中症/低体温・エコノミークラス症候群
  • ■③ 薬と情報:お薬手帳・予備薬・受診先の確保
  • ■④ トイレと衛生:夜間の排泄と失禁対策が鍵
  • ■⑤ 睡眠:腰痛・しびれ・寒暖差で眠れない問題を解く
  • ■⑥ 食事と水分:嚥下・塩分・脱水を同時に見る
  • ■⑦ 介護する側が潰れない:家族の役割分担と休憩の作り方
  • ■⑧ 出発前の最小チェック:30分でできる「崩れないセット化」
  • ■結語

■① 結論:高齢者同伴の車中避難は「転倒・脱水・薬」を最優先で守る

結論はシンプルです。高齢者の車中避難で最初に守るべきは、この3つです。

1) 転倒(骨折・頭部打撲)
2) 脱水(熱中症、血栓リスク、便秘悪化)
3) 薬(いつもの薬が切れた瞬間に崩れる)

現場でも「避難ができた=安全」ではなく、避難後の数日で体調が崩れて救急搬送になるケースがありました。
車中避難は“静かに悪化”が起きやすいので、優先順位を先に固定します。


■② 車内で起きやすい3大事故:転倒・熱中症/低体温・エコノミークラス症候群

転倒

車内は段差・足元の荷物・暗さが重なりやすいです。
被災地で多かったのは「夜間トイレ」「狭い通路」「急いだ立ち上がり」での転倒でした。

対策

  • 通路に物を置かない(床に置く文化を捨てる)
  • 夜間ライトを足元に固定(手に持たない)
  • 立ち上がりは一拍置く(ふらつき確認)

熱中症/低体温

高齢者は暑さ寒さの感覚が鈍くなることがあります。
「本人が大丈夫と言う」ほど危ない場面がありました。

対策

  • 温湿度計を車内に置く(感覚より数字)
  • こまめな換気・日よけ・断熱(対処でなく予防)
  • 寒い時は床からの冷えを遮断(マットが先)

エコノミークラス症候群(血栓)

長時間同じ姿勢、脱水、寒さでリスクが上がります。

対策

  • 2〜3時間ごとに足首回し・つま先上下(短く確実に)
  • 水分を“少量頻回”で入れる
  • 可能なら少し歩く(安全が確保できる範囲で)

■③ 薬と情報:お薬手帳・予備薬・受診先の確保

高齢者同伴避難で崩れやすいのが薬です。
被災地でも「薬がない」「名前が分からない」「どこで貰えるか分からない」が連鎖していました。

必須セット

  • お薬手帳(紙が強い)
  • 予備薬(最低7日、できれば14日)
  • かかりつけ連絡先メモ
  • 服薬スケジュール(朝昼夕・食前食後が一目で分かる)

ポイント

  • 薬は“1袋にまとめる”より“日ごとに小分け”がミスを減らします
  • 車内の高温で劣化しやすい薬は保管場所を決める(直射日光NG)

■④ トイレと衛生:夜間の排泄と失禁対策が鍵

車中避難で一番ストレスが溜まるのは、排泄の問題です。
特に夜間に「行きたい→暗い→転倒」が起きやすいです。

準備のコツ

  • 簡易トイレは“設置場所”を先に決める
  • 消臭袋・手袋・除菌シートを同じ箱にまとめる
  • 失禁が心配なら、吸水パッド・替え下着を多めに

現場では、羞恥心で我慢して体調を崩す方がいました。
「我慢しなくていい仕組み」を先に置いておくと、本人も家族も楽になります。


■⑤ 睡眠:腰痛・しびれ・寒暖差で眠れない問題を解く

高齢者は、硬い寝床で腰や背中がすぐに限界になります。
避難所の床でも車中でも、痛みが出ると“寝られない→疲労→判断低下”の連鎖が起きました。

対策

  • 厚めのマットで硬さを消す(最優先)
  • 首・膝のクッションで負担を減らす
  • 冷えは足元から来るので、足元断熱を厚くする

睡眠は贅沢ではなく、回復手段です。眠れない環境は、避難の継続を壊します。


■⑥ 食事と水分:嚥下・塩分・脱水を同時に見る

高齢者は「食べられない」「飲めない」が静かに進みます。

見るポイント

  • むせる(嚥下のサイン)
  • 口が乾く、尿が少ない(脱水)
  • 便秘(脱水+活動量低下)

工夫

  • ゼリー飲料・とろみ系・柔らかい非常食を混ぜる
  • 水分は“少量を回数多く”
  • 塩分の摂りすぎ・不足の両方に注意(持病に合わせる)

被災地支援で感じたのは、食事の快適さが体調だけでなく気力を支えるということでした。車中避難でも同じです。


■⑦ 介護する側が潰れない:家族の役割分担と休憩の作り方

介護する側が倒れると、全員が危険になります。
現場でも、家族が疲れ切って判断を誤る場面がありました。

最低限のルール

  • 交代制(見守り役を固定しない)
  • “休む時間”を先に確保する(後回しにしない)
  • できることは本人に任せる(自尊心と体力維持)

「全部やる」ではなく、「続けられる形」に落とすことが安全です。


■⑧ 出発前の最小チェック:30分でできる「崩れないセット化」

出発前にこれだけやると、避難後が安定します。

  • 通路の荷物ゼロ化(転倒防止)
  • 足元ライト固定(夜間トイレ対策)
  • 薬セットを1か所に集約(お薬手帳も同封)
  • 簡易トイレ箱を“即使える状態”にする
  • 温湿度計を設置(暑さ寒さを数字で管理)
  • 水分ルールを決める(何時間ごとに一口でも)

被災地派遣の現場で強く感じたのは、「迷いが減るほど事故が減る」ということです。
準備は物を増やすことではなく、迷いを減らすことです。


■結語

高齢者と一緒のキャンピングカー避難は、転倒・脱水・薬を最優先で守ると一気に安定します。
車内は狭くても、順番さえ正しければ“避難生活を続けられる場所”になります。
避難は一晩で終わらないことがあります。続けられる形に整えることが、家族全員の安全につながります。

【出典】内閣府 防災情報「避難所運営等」https://www.bousai.go.jp/

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